Citrixといえば、アプリケーション仮想化製品のCitrix XenAppや、デスクトップ仮想化製品のCitrix XenDesktopを思い浮かべるお客様が多いかと思います。

XenAppおよびXenDesktopには、低帯域、高遅延、パケットロスの多いWAN回線経由でもユーザーエクスペリエンスを維持しながら利用できる技術であるHDXテクノロジーを実装しています。これにより、様々なネットワーク環境下でXenAppやXenDesktopを利用可能です。その一方で、支店/支社からWAN回線経由でXenAppやXenDesktopを利用する場合に、お客様から以下のような課題を頂くことがあります。

「契約している複数のWAN回線の全帯域を使って運用したいが、特定の回線に通信が偏る心配がある」

「WAN回線を経由する場合でも、XenDesktopやXenApp利用時のマウスや画面の動きをできる限り良くしたい」

「海外の支店/支社側のWAN回線が不安定で、冗長化していても、XenAppやXenDesktopの再接続が必要になることがある」

「支店/支社でXenDesktop、XenAppを利用中の社員から『動きが遅い』と申告があった場合、被疑箇所の特定に時間と手間がかかる」

Citrixでは、XenAppで構築した仮想アプリケーションおよびXenDesktopで構築した仮想デスクトップを、企業の支店/支社にお勤めの方にも快適に配信するためのSD-WANソリューションも展開しています。

今回は2017年4月に弊社NetScaler SD-WAN製品部門のバイスプレジデントであるChalan Arasが執筆したブログ「15 Reasons NetScaler SD-WAN is THE Choice for Delivering XenApp & XenDesktop」の概要を、関連情報を交えて日本語で紹介します。

さて、5月23日~25日に米国フロリダ州オーランドで開催されるCitrix Synergyにおいては、NetScaler SD-WANを導入することで、企業の支店/支社にお勤めの方が仮想アプリケーションをより安全に、かつ高信頼性を保ちながら通信できる仕組みを、デモを交えて紹介しています。NetScaler SD-WAN は、XenAppやXenDesktopをより多くの拠点で効率良く利用しながら、同時に利用者の体感品質を向上します。 更に仮想アプリケーションおよび仮想デスクトップのトラフィックであるHDX通信の可視化により、運用管理性を向上し、障害時の事象切り分けをより迅速に行えます。今回のブログでは、なぜ支店/支社で仮想デスクトップや仮想アプリケーションを利用する場合にNetScaler SD-WANの導入が最適解になるのかを説明します。その理由は、実に15もあります。

理由 その1 「Always-On」の信頼性を提供します

XenAppやXenDesktopを支店/支社から快適に利用するためには、WAN回線自体が落ちないことが重要です。巷に溢れるSD-WANソリューションの中で、NetScaler SD-WANはAlways-Onの、すなわち常時接続した環境下でのアプリケーション利用を可能にします。複数のWAN回線の中でいずれかに障害が発生した場合でも、10ミリ秒以内という極めて短い時間で、自動的に利用する回線を変更します。

理由 その2 契約回線全ての帯域を利用できます

NetScaler SD-WANには、複数のWAN回線を仮想的に1本に束ね、個々の回線がもつ帯域の総和分を全てのアプリケーションで利用できる仕組みが実装されています。例えば業務上極めて重要なアプリケーションが、他に空きのある回線があるにも関わらず輻輳している回線を利用して通信を行う結果、ユーザーエクスペリエンスを大きく下げてしまう、というような課題を抱えているお客様には、NetScaler SD-WANが最適のソリューションとなります。

理由 その3 音声呼のパケットを最優先で扱う仕組みがあります

VoIP通信の普及によって、音声系アプリケーションもクラウド上で動く時代になりました。この結果、音声系アプリケーションを配信するネットワークに一層の高信頼性が求められるようになっています。NetScaler SD-WANは、HDXプロトコルに含まれる、含まれないに関係なく、音声呼の品質を維持する仕組みを備えています。複数の回線にパケットを複製して同時に送信する技術や、Skype for BusinessをHDX上でご利用の場合においても最適なQoSで配信する技術を提供します。

理由 その4 HDX通信をより深く可視化できます

統合マネジメントツールであるCitrix NetScaler Management and Analytics System (NetScaler MAS)には、HDX Insightと呼ばれる重要な分析機能があります。NetScaler SD-WANには、企業の拠点間通信における通信状態ログをNetScaler MASに対して送信する機能があり、これを使うことで、ユーザーやアプリケーション、HDXプロトコルに至るまで詳細な可視化が可能になります。例えば支店/支社でXenDesktopを利用するユーザーが「遅い」と申告した場合に、それがデバイス側の問題なのか、WAN回線の問題なのか、サーバー側の問題なのかが、この可視化を通して明らかになり、早期の問題解決につながります。

理由 その5 利用場所に関わらず、あらゆるアプリケーションを把握できます

IT管理者にとって、あらゆるアプリケーションを深くかつネットワーク全体に渡って可視化できることは、業務インフラを支える上で非常に大切です。NetScaler SD-WANでは、ネットワークセグメント単位や支店/支社単位で、4,000を超えるアプリケーションを可視化することができます。この機能を使うと「Microsoft Office365」の「Sharepoint」のようにアプリケーションのサブカテゴリまで把握することもできます。NetScaler SD-WANであれば、HDX通信とあらゆるアプリケーション通信の情報を合わせて、より立体的に通信を可視化することもできます。

理由 その6 HDX通信に最適なQoSを提供します

NetScaler SD-WANを使うと、インタラクティブな画面、画像や印刷・スキャンといったHDXに関する多様なデータ通信を、最適なQoSで複数のWAN回線を跨いで配信できます。各セッションデータの負荷を分散しながら、XenAppやXenDesktop通信に利用される個々のフローに対して最適なリンクを選択する機能が実装されているSD-WANソリューションは弊社をおいて他にありません。

理由 その7 完全なエンド ツー エンドのQoSを実現します

現在多くの企業のお客様が、マルチクラウド環境や複数のSoftware-as-a-Service(SaaS)事業者のサービス、そして自社データセンターを駆使してアプリケーションを利用されています。このようにアプリケーションが様々な場所から配信される今日、データセンターだけでなく各支店/支社においてもQoSの担保が課題になります。NetScaler SD-WANであれば、データセンターは勿論のこと、各支店/支社においてもQoS機能や優先制御機能を実現できます。アプリケーションがどこから配信されようとも、VoIPやHDX通信をより優先的に処理できるようになります。

理由 その8 高度なセキュリティ機能も提供します

クラウドからアプリケーションが配信される今日、アプリケーション配信元と支店/支社との間でのセキュリティ確保は非常に重要です。NetScaler SD-WANでは、アプリケーション識別が可能なファイアウォール機能を提供します。これにより、支店/支社からデータセンターを介さずに直接クラウドやSaaS環境へアクセスできるようになります。勿論、HDX通信がファイアウォールを透過できるよう自動設定する仕組みも備えています。

理由 その9 WAN回線最適化機能も提供できます

拠点によっては、ネットワーク遅延が大きい、輻輳が頻繁に発生する、容量の大きいファイル転送が頻繁に行われるなど、固有の事情を抱える場合もあると思います。Citrix NetScaler SD-WANであれば、従来から提供している、圧縮を初めとするWAN最適化機能も同時に利用可能です。HDX通信の最適化効率が高まり、XenDesktopやXenApp通信、その他のアプリケーション通信をより最適に配信できます。

理由 その10 クラウドへの移行を進めるお客様にも、ご導入頂けます

Citrix NetScaler SD-WANは、Amazon Web Service、Microsoft Azure、Equinix Performance Hubでも利用可能で、ハイブリッドクラウド環境や、Citrix Cloudへのアクセスに対しても高信頼性の接続を提供します。XenAppやXenDesktop基盤をクラウド環境やCitrix Cloudに移行する検討を進められているお客様や、既にCitrix Service Providerにご相談頂いているお客様についても、NetScaler SD-WANがあらゆるユーザーに対して最適のアプリケーション通信環境を提供します。

理由 その11 SaaS導入予定のお客様のインフラを支えます

SaaS導入時には、企業ネットワークのあり方を今一度見直す必要が出てきます。SaaSに直接アクセスできる環境を、高度なセキュリティを維持しながら実現する必要があるからです。NetScaler SD-WANは支店/支社からSaaS環境への直接接続と、データセンター経由で配信されるその他のアプリケーション通信を同時に実現するために、アプリケーション識別可能なファイアウォール機能とステアリング機能を提供します。これにより、SaaSを含む全ての通信をデータセンター経由で行う必要性がなくなります。更により高度なセキュリティを実現されたいお客様向けに、NetScaler SD-WANではZscalerやForcePointなど、第三者が提供するSecure Web Gateway機能との連携をサポートしています。

理由 その12 支店/支社での導入も簡単です

支店/支社でのネットワーク機器導入や管理は決して容易ではありません。NetScaler SD-WANでは、専門のエンジニアが支店/支社に赴かなくてもゼロタッチで導入できる「Zero Touch Deployment Service」機能を提供しています。専用サイトのリンクをクリックしてアクティベーションを行い、電源を投入してインターネットに接続するだけで、残る機器設定作業は全て自動にて行われます。

理由 その13 ワールドワイドでサポート体制を整えています

Citrixでは、グローバルで製品・サービス販売体制を整えており、100カ国以上で現地社員によるテクニカルサポートも提供しています。海外拠点を多く擁するお客様にも、適切なサポートを提供できる体制があります。また、既にXenAppやXenDesktopを導入済みのお客様がCitrixのSD-WANも利用する場合、仮に不具合があったとしても、Citrixが両製品のサポートノウハウを踏まえて、お客様環境における原因の特定や回避策などをご案内します。

理由 その14 CitrixのSD-WANを扱うサービスプロバイダーも増えています

SD-WANを含む社内ネットワーク管理を委託したいという企業のお客様もいらっしゃいます。現在SD-WANの設計から構築、ネットワークやXenDesktop、XenApp運用管理を一括でお任せ頂けるサービスプロバイダーの立ち上げと拡充を進めております。

理由 その15 エンド ツー エンドでの接続を担保できます

Citrixは製品間の相互接続性が常に保たれるように配慮しています。製品やプロトコルが日々進化する中で、XenApp、XenDesktop、Storefront、NetScaler Gateway、NetScaler SD-WANをご導入済みのお客様においては、常にその時点で最適の品質がエンド ツー エンドで提供できるよう最善を尽くしております。SD-WANの部分もCitrixにお任せ頂けるからこそ提供できるメリットです。

このように、既にXenAppやXenDesktopを導入済みのお客様にとって、NetScaler SD-WANがもたらすメリットは実に多岐に渡ります。今後、新規拠点に仮想アプリケーション環境を提供予定のお客様にも、上述した15のメリットを享受して頂くことができます。

NetScaler SD-WANがXenAppやXenDesktopを組み合わせるソリューションに関しては、ホワイトペーパー(英文)もご覧下さい。また、6月7日~9日に開催されるInterop Tokyo 2017弊社ブースでは、NetScaler SD-WANに関するセッションや展示もご用意しております。日頃よりXenApp、XenDesktopをご利用の皆様、働き方改革実現に向けて仮想デスクトップ環境のご導入を検討中の皆様のご来場を、心よりお待ち申し上げます。

【参考リンク】

NetScaler SD-WAN 製品概要
https://www.citrix.co.jp/products/netscaler-sd-wan/

企業の拠点間接続のニーズに応えるSD-WAN(資料)
https://www.citrix.co.jp/lp/netscaler-sd-wan/apjjpn-0317-ns-whitepaper-q1-l-dnbu-sdwan-jp/

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