みなさん、こんにちは。シトリックスのパートナーSE部の櫻井です。

テレワークのニーズの高まる今日この頃ですが、ユーザーのエンドポイントデバイスの選択はユーザーの生産性、企業情報を守るためのセキュリティ対策として重要なポイントの1つです。その選択肢は多岐にわたり、 Citrix ソリューションで構築する仮想デスクトップ環境へ接続するエンドポイントして導入する場合、通常のいわゆる FAT 端末のほか、シンクライアント端末(通常のノート PC 型や、 Workspace Hub という選択肢もあります!)を利用しているユーザーもいらっしゃるかと思います。

今回は、その1つの選択肢として Google 社の Chromebook をCitrix の仮想デスクトップで利用する場合、実際にどうなの?といったところを紹介させていただきます。こちらは私とGoogle の Chrome Enterprise 山本様とで共同検証した内容と共にお伝えしたいと思います!

◆ Chromebook について

Chromebook  は Google 社が開発した Chrome OS  を搭載するデバイスです。ハードウェアについては各ハードウェアベンダーが製造を行っており、日本でも日本語キーボードバージョンの  Chromebook  が販売されております(参考リンク)。 Chromebook  の魅力的なポイントはたくさんあるのですが、 Citrix  環境へつなぐエンドポイントデバイスとした場合のメリットは以下があるのではと思います。

セキュリティ:

ウィルス対策ソフトが不要な点や、ハードウェアレベルでのデータの暗号化がデフォルトで行われる点(参考リンク)。管理コンソールから遠隔停止/遠隔初期化もできます(参考リンク)。

可用性:

デバイス内に常に  OS  を2つ保持しており、使用していないほうの  OS  を自動的に最新バージョンに更新、再起動後に読み込みパーティションの切り替えのみを行うため、常に数秒で起動。エンドユーザーの作業がアップデートによって妨げられることがありません(参考リンク)。ノートパソコンとして設計されているため、バッテリーが長持ちなのも嬉しいところ。

コストパフォーマンス:

デバイスの価格も魅力的なものが多いですが、上記の2つの項目で記載した部分に関連する管理コストを低減できるところもポイントかと思います。

◆ 今回検証した環境

今回の検証で利用した環境のイメージを以下に示します。

・Citrix  ソリューションのコントロールプレーン(仮想デスクトップへのセッション管理を担う機能)は、 Citrix Cloud の Virtual Apps and Desktops Service を利用し、リソースロケーション(実際にユーザーの方がアクセスする仮想デスクトップ環境)は Microsoft 社の Windows Virtual Desktop で提供される Windows 10 multi セッションを利用する環境にすることで、オンプレミスにサーバーを構成しないハイブリットマルチクラウド環境でのテストを行いました。

・エンドポイントデバイスは、 ASUS 社製 C101PA というモデルを利用しました。

・エンドポイントのネットワークは、モバイルルーターを利用。かつ、検証のためのコミュニケーションツールとして、テレビ会議ツール( Google 社の Meet )を並行して利用した状態でテストしました。

  • Citrix Workspace アプリは、 ChromeOS 版、 Android 版、 HTML5 版(ブラウザ版)でテストしました。

◆ 結果と感想

こちらは上記検証環境で実施した際のテスト結果と所感です。検証につきましては、Google の Chrome Enterprise 山本様のご自宅より、 Chromebook 端末を接続してテストいただき、実際に利用した感想も合わせてまとめていただきました。ご協力ありがとうございました!

 ※こちらはテスト環境での結果・感想であり、すべての環境に対するパフォーマンスを保証するものではございません。

日本語キーマップ:課題なし

  • 全てのキー($@#などの特殊キーを含む)を印字どおり正しく入力できることを確認しました
  • キーコンビネーション(例:Ctrl+C)が正しく行えることを確認しました

クリップボードの共有機能:課題なし

  • Citrix Workspace 上の仮想環境と  Chrome OS 間で、コピー&ペースト(今回実施したのはテキストのみ)ができることを確認しました。今回は管理者側で設定するCitrix ポリシーで仮想環境側とエンドポイント側のデータのやり取りを許可する設定にしています。もちろん、クリップボードの共有を一切禁止にすることもできますし、エンドポイント側のテキストはコピーできるけど、仮想環境側のテキストはコピーできない、といった片方向での許可を設定することもできますので、その組織のセキュリティポリシーに柔軟に対応できます。

日本語 IME の課題:一部課題はあるが、Android 版であれば問題なし

  • Android 版 Citrix Workspace アプリでは、Chrome OS 側の IME をリダイレクトすることも、仮想環境側の IME を使用することもできました。これは Citrix Workspace アプリの設定で選択することができます。

Workspace アプリの右メニューから「アプリケーション設定」をクリックします。

「キーボード」の「クライアントIMEの有効化(デフォルトはチェックあり)」のチェックを外すと仮想環境側のIMEを利用する設定になります。

  • Chrome アプリ版・HTML5 版では、仮想環境側の IME を使用できず、Chrome OS 側の IME をリダイレクトして使用する形となりました

USB ストレージの使用:課題なし

  • USB メモリを Chromebook に差し込み、仮想環境側の Windows で読み書きができることを確認しました。こちらはクリップボードの検証と同様、管理者側で設定するCitrix ポリシーで、仮想環境側とエンドポイント側のデータのやり取りを許可する設定にしています。もちろんこちらも、ポリシーの設定により、エンドポイント側の USB ストレージの利用を一切禁止にすることもできます。

パフォーマンス:課題なし

  • モバイルルーター利用下でのネットワーク帯域が制限されている環境かつ ASUS C101PA というエントリーモデルでも、キー入力時の遅延をほぼ感じることなく、快適に クラウド上の Windows を使用できました。

解像度:課題なし

  • ドットバイドットで、かつアンチエイリアスがかかっており、仮想環境の Windows がきれいに表示されることを確認しました。

◆まとめ

今回はまず基本的な部分についてのテストを行いましたが、オフィスワーク用途として利用するのであれば、十分ご納得いただけるレベルのユーザーエクスペリエンスをご提供できるのではと思います。実際に米国ではテレワークでの利用のほか、特に教育分野を中心に Chromebook の導入が増えており、価格・機能のバランスの良さから、日本でも今後導入が進むのではと予想しております。今後のエンドポイントデバイスの選定のご参考にしていただければと思います。

Citrix では今後も様々なベンダー様と協働し、エンドユーザーの皆様に最適なユーザーエクスペリエンスをご提供できるよう、引き続き取り組んでまいります。

◆ お知らせ: Google 社との共催 Web セミナーを 2020/4/21(火) 14:00より開催します!

Google + Citrix 共催ウェブセミナー「サクサク動く! Chromebook と Citrix の組み合わせが最高なワケとは?~手軽・簡単・安全に始めるテレワーク」

お申し込みURL:https://citrix.omniattend.com/seminar/google-citrix-421

◆ 参考

Google Chromebook : https://cloud.google.com/chrome-enterprise/chromebooks/?hl=ja&utm_source=Consumer&utm_medium=Webpage&utm_campaign=Q2