このブログは、2017年9月にCitrix本社マイクロソフトソリューションエンジニアリング部門のOle Larsenが執筆したブログ「Introducing Azure Managed Disks (Preview) in XenApp & XenDesktop on Azure」を日本語訳したものです。
Citrix Cloudの XenApp&XenDesktop Serviceで現在開発中のAzure 管理ディスク(Managed Disks)のプレビュー版を試すことができます。管理ディスクは、ストレージアカウントを作成したり、ストレージアカウントのIOPS制約を気にせずに、スケーラブルで可用性の高いストレージを提供します。
管理ディスクの概要
Azure 管理ディスクは、現在のストレージアカウントベースのシステムの代替として提供される伸縮自在のディスクストレージシステムです。 現在、XenDesktopは、プロビジョニングされた仮想マシン(VDA)のオペレーティングシステムとデータディスクを保持するVHD BLOBのストレージを提供するために、複数のIOPSに制約のあるストレージアカウントを作成および管理する必要があります。 さらに、ストレージアカウント間でのイメージのコピーは遅いため、各OSディスクをマスターイメージから直接コピーすることは複数のストレージアカウントを使うカタログに対しては現実的ではありません。 代わりに、マスターイメージは、各OSディスクは同じストレージアカウント内のマスターイメージのコピーからコピーできるように、カタログが作成されたり、更新されるタイミングで、各ストレージアカウントに複製されます。
管理ディスクは、ストレージアカウントの複雑さを解消し、ディスクの作成と管理にシンプルでスケーラブルかつ可用性の高いソリューションを提供し、マスターイメージをストレージアカウントに複製する時間を不要とします。 加えて、管理ディスクがフォールトドメイン間の分散を最適化する方法でストレージクラスタに割り当てられるため、可用性セット内のマシンの信頼性が向上します。
Azureリソースグループは、800個以下の管理ディスクを保持できます。 デフォルトでは、XenDesktopは1台のマシンに3つのディスク(OSディスク、IDディスク、ライトバックキャッシュディスク)を提供します。 XenDesktopは、リソースグループごとに理論上の266台まで作れますが、将来の拡張用のバッファを残す必要があるため、実際は最大240台のマシンがプロビジョニング可能です。 したがって、240台を超えるマシンを持つカタログは複数のリソースグループにまたがることになります。
管理ディスクの課金は、非管理ディスク(ストレージアカウントのVHD)とは現在異なるため、わずかなコストの差があります。 XenApp on Azure Cost Calculatorにおいては管理ディスクのコストを反映するように更新しました。 最後に、Azureには管理ディスク固有の制限があります。これについてはこの記事で詳しく説明しています。
この機能の正式版がリリースされると、管理ディスクがCitrix Studioのデフォルトオプションになりますが、非管理対象デディスクをストレージアカウントにプロビジョニングすることも選択可能です。
Studioでプレビュー版の管理ディスクを有効にする方法
Studioでプレビュー版の管理ディスクを有効にする方法
プレビュー版の管理ディスクを選択する新しいオプションは、カタログ作成ウィザードの[Storage and License Types]ページに表示されます。
“Enable Azure Managed Disks[Preview Only]”を選択すると、プレビュー版の制限を示すポップアップウィンドウが表示されます。
特に、管理ディスクプレビュー版では、非管理ディスク(ストレージアカウント内の仮想ハードディスクBLOB)のマスターイメージのみがサポートされています。 これは以前のバージョンで使用されていたものと同じタイプのイメージであり、既存のイメージを使用することができます。 管理ディスクの正式版では、管理ディスクマスタイメージを含む追加のマスタイメージオプションがサポートされる予定です。
管理ディスクで作成されたカタログはカタログ名に接頭辞「Azure-Managed-Disks-Preview-」が追加され、Studioのサマリーページにメッセージが表示されます。
カタログは引き続きストレージアカウントを使用します
Azureポータルの管理ディスクカタログで使用されているAzureリソースには、少なくとも1つのストレージアカウントが含まれます。 ストレージアカウントは、Azureテーブルストレージ用と、IDディスクの作成時の一時ストレージとして使用されます。 Citrix Machine Creation Service(MCS)によって作成されたすべてのXenAppおよびXenDesktopマシンには、各マシンに固有のIDディスクと呼ばれるデータディスクが存在します。
IDディスクはマシン固有のものであるため、ストレージアカウントを介さないと作成できません。 これは、現在管理ディスクに接続されているマシンを除き、管理ディスクに直接書き込むためのAPIがないためです。 代わりに、IDディスクの内容をストレージアカウントのBLOBに書き込んだ後、管理ディスクにコピーします。 ただし、Azureは、管理ディスクがマシンにアタッチされるまで、管理ディスクをどこに割り当てられないため、コピーを要求することができますが、オンデマンドプロビジョニングでは最初にマシンが起動されて、マシンが作成されるまで、その要求を開始することができません。 つまり、IDディスクは、対応するマシンが最初に起動されるまでストレージアカウントに残ります。そして、その時点でソースBLOBはストレージアカウントから削除されます。
制限事項
- Azure 管理ディスクサポート(プレビュー版)は「現状のまま」提供され、Citrixカスタマーサポートの対象外です。
- Azure管理ディスクサポート(プレビュー版)は、本番環境に使用しないでください。
- Azure 管理ディスクサポート(プレビュー版)を使用して作成されたマシンカタログは、プレビューが終了すると動作を停止することがあります。 その時点で、管理ディスクのプロダクションサポートが利用可能になり、必要に応じて同じイメージを使用してカタログを再作成することができます。
- マスターイメージは従来のストレージアカウントのVHDでなければなりません(Azure 管理ディスクのマスターイメージはサポートされていません)。
- 「Master Image」ページで選択したマスターイメージVHDは、カタログがプロビジョニングされているのと同じAzure場所にある必要があります。 (たとえば、 “Japan East”)
- Azureサブスクリプションごとに10,000個の管理ディスクの上限があります。 これにより、1台のマシンにつき3つの管理ディスク(Citrix Studioのデフォルト)を仮定すると、サブスクリプション内のマシンの合計数は約3,300に制限されます。
- ストレージアカウントは、カタログ作成プロセスのいくつかのステップでまだ必要です。 XenDesktopは現在、厳密に必要なストレージアカウントよりも多くのストレージアカウントを作成し、不要になった時点では削除されません。ただし、カタログ内のすべてのマシンが起動されると、ストレージアカウントは空になります。