このブログは、2017年9月に本社の製品チームのFernando Klurfanが執筆したブログ「Windows 10 and XenDesktop」を日本語訳し、一部加筆・修正したものです。

Windows 10は、「Windowsの最後のバージョン」というニックネームが付けられています。この理由は、Windows as a Serviceと呼ばれる、Windowsの導入、展開、サービスの新しい方法、モデルが導入されたためです。

この新たな方針のもとで、マイクロソフトはお客様の2つの主要な課題に取り組んでいます。

  1. PCの入れ替えによるバージョンアップやとOSのアップグレードのために必要なの長い期間。
  2. OSにパッチを選択して適用することによるプラットフォームの非一律化。 これは、Windows Updateに関連する多くの互換性の問題やシステム異常の原因となり、恐らくサポートとテストの部門で課題になっていると思われます。

Windows 10に関する最新情報については、 マイクロソフトのWebサイトをいつも参照する必要がありますが、このことがお客様のXenDesktop環境にどのような影響があるのかを理解いただけるように関連情報を要約します。 まずはマイクロソフトがWindows 10を更新する新しい方法から説明しましょう。

Windows 10 Servicing (旧名 Updates)

お客様の課題を解決するために設計された明確に区別された2つのタイプのアップデート、機能更新プログラム(FU)と品質更新プログラム(QU)、があります。

  1. 機能更新プログラムは、1507(RTMとも呼ばれる)、1511(別名November)、1607(別名Anniversary)、1703(別名Creator)、1709(別名Fall Creators)などのWindows 10の「新しいバージョン」に対応します。 これらはCitrixの最新リリース戦略と同様に、新機能のリリース方式になります。 バージョン番号はリリースの年/月に対応します。
  2. 品質更新プログラムは、管理者がセキュリティアップデートとセキュリティ以外の修正(ドライバのアップデートやOfficeのアップデートなど)を含む累積アップデートを受け取るように設計されています。新しい機能は含まれません。

管理者がこれらの更新を入手するには「サービスツール」と呼ばれる4つの方法があります。

  • Windows Update/Microsoft Update
  • Windows Update for Business/Microsoft Update for Business
  • Windows Server Update Service(WSUS)
  • System Center Configuration Manager(SSCM)

Windows Update/Microsoft UpdateおよびWindows Update for Business/Microsoft Update for Businessは通常中小規模の企業で使用されているので、ここではWSUSまたはSCCMを使用するものと想定します。

Servicing Channels (aka Servicing Branches)

この新しい機能と品質の更新サービスに対応するため、マイクロソフトでは、Current Brunch(CB)、Current Brunch for Business(CBB)、およびLong Term Servicing Branch(LTSB)の3つのサービスブランチという概念を導入しました。

2017年4月、Microsoft は1703以降、新しいWindows 10バージョンがOffice 365 ProPlusのサービス方法に合わせて半年ごとのサイクルに変更することを発表しました。管理者にとってのメリットは、この方法はスケジュールを立てやすいことです。

しかし、もう1つ重要な変更があります。新しいバージョンの寿命はきっちり18ヶ月ということです。 以前は1507/1511/1607のように、CBBの最後には60日間の猶予期間がありましたが、それがなくなりました。さらに、2017年7月には、Microsoft CB / CBB / LTSBの用語が、Semi-Annual Channel Targeted、Semi-Annual Channel(SAC)とLong Term Servicing Channel(LTSC)に変更されました。

使用可能な3つのサービス可能なトラックについて説明します。

  1. Windows Insider Program (WIP):テスト用の迅速なプレリリース。 本番環境用ではありません。 例えば、Citrix社が開発作業を開始するバージョンです。
  2. Semi-Annual Channel (SAC):3月と9月には、Windows 10 – 1709,1803,1809,1903などの新しいバージョンがリリースされます。これらのリリースは18ヶ月間サポートされます。
    SAC-Targetedと呼ばれる、お客様がパイロットプロセスを開始するために設計されたこれらのビルドが公開され、約四ヶ月の更新を経て、マイクロソフトは広範な展開のためにそれをSACに昇格させると思われます。そのためSACは毎年7月と1月頃に宣言されています。
    例えば1709は2018年1月に広域展開を想定したSACになります。1803は2018年7月にSACになります。SACは、適用するかどうかは企業次第ですが、正式にお客様が展開するリリースになります。SACのリリースは、Citrixが展開をフルサポートしているバージョンでもあります。
  3. Long Term Servicing Channel (旧LTSBの新しい名前):Windows 10 Enterpriseのみで使用可能なLTSCは、「医療機器、POSシステム、ATMなどを制御するPC」などの特殊システム向けと長期的な安定性が必要なその他のシステム用に設計されています。

SAC-TargetedとSAC(またはCBとCBB)は、タイミングの違いのみという点に注意してください。それらは同じOSです。 対照的に、LTSCは別のSKU / Editionで、別のOS(EdgeやCortanaが含まれないなど)です。 現在、v1507とv1607に基づいて、LTSBは2つしかありません。 次のLTSCは2019年に予定されています。


(エクセルシートをダウンロードするにはここをクリック)


最後に、XenDesktopとWindows 10のサポートに関してQ&A形式で説明します。

Windows 10のサービスチャネルは、XenDesktop VDAのサポートとどのように連携していますか?

以下のチャンネル毎に説明しますが、この内容は、Citrix Receiverではなく、VDAのみに適用されます。 Citrix Receiverの情報については、 CTX224843を参照してください。

Windows Insider Program

Citrixでは、第三者検証期間とともにWindows Insider Buildsに対してVDAの検証を行っています。
具体的な検証バージョンの例としては、7.15(これを7.Nと呼ぶ)と7.N + 1は現在、すべての1709 tech-previewビルドで検証されています。
“7.N + 2″は1803についても同じように検証を行います。
これらは、第三者検証部門のテストのいくつかの例です。

アプリとデスクトップの起動 インストールサービス 音声リダイレクション
クライアントドライブマッピング RTOP for Skype セッション画面の保持
クリップボード セッション録画 マルチストリーム、マルチポート
タイムゾーンリダイレクション HTML5 Receiver USBリダイレクション
プリンタマッピング Citrix Director Local App Access
認証 Flashリダイレクション スマートアクセス

CitrixのKBにWindows Insider Buildsに関連するすべての調査結果を記載します(CTX224843)。

Semi-Annual Channel Targeted (SAC-Targeted)

Citrixは、XenDesktopを使用したWindows 10 SAC-Targetedの構成のサポートのみを提供します。 SAC Targetedフェーズでは、Windows 10リリースにはアプリケーションの起動などの基本的なXenDesktop機能の全体的なパフォーマンスに影響を与えうる、複数の修正が行われる可能性があります。例えば、7.15の後のCitrixのCR(簡便的にQ4予定のそれを7.N + 1とします)は、1709 SAC-Targetedフェーズの真中にちょうど公開される見込みです。 したがって、7.N + 1で1709 SAC-Targetedをサポートするのは、構成上の問題のみです。言い換えれば、設定に関連していない問題に関しては、SACを待つか(マイクロソフトと協力してパッチを作成する時間ができます)、次のXenDesktop CRにアップグレードすることで最終的に問題を解決するということです。

2018年1月頃に1709がSACになると、7.N + 1がそのバージョンをサポートし、CitrixのKBですべての既知の問題点が公開可能になる予定です。 これは、1709にWindows Insider ProgramとSACターゲットチャネル全体を通じてテストされた次のCRです。7.15 LTSRを使用している場合は、もし変更が必要な場合に使用する方法は累積修正アップデート(CU)の適用になります。したがって、2018年第1四半期に予定されている次期XenDesktop CR(7.N + 2)は、1709 SAC(broad)をフルサポートします。

Semi-Annual Channel

Citrixはコード変更( メンテナンスと呼ばれる)を含めて、SACをフルサポートする予定です。SAC宣言の後に出荷されるXenDesktopリリースでは、SACになるWindows 10は正式にサポートされます。例えば、7.15(8月にリリース)は、7月にリリースされた1703 SACをサポートします。

Windows 10のバージョンがSACになる前に出荷されるXenDesktopリリースは、自動的に「前方互換」ではありません。たとえば、5月にリリースされた7.14.1は、制限付きで7月にSACになった1703をサポートしています。つまりお客様には検証していただく必要があります(CTX223074)。基本的には検証済みである最新のVDAバージョンをご使用ください。

1703のカスタマーエクスペリエンス向上プログラム(CEIP)のデータよると、多くのお客様が1703前のXenDesktop CRをインストールしていることを認識していますが、SAC Targetバージョンでテストしているの最初のバージョンは7.14.1ですので、このバージョン以降をご利用ください。

Long Term Service Channel (LTSC)

LTSC(以前のLTSB)は前述のように特殊ケースでの利用を想定していますので一般用途では推奨しません。仮にLTCSを利用する場合は、XenDesktop Long Term Service Release(LTSR)7.15を利用して下さい。

Windows 10 Upgrades

そして最後に取り上げたいのは、Windows 10の1つのバージョンから次のバージョンへのアップグレードです。
この場合VDAをアンインストールし、OSをアップグレードし、すべてのCitrixソフトウェアを再インストールする必要があるかどうかについての調査結果は、次のCitrix KBに記載されています。

 From To 1507 1511 1607 1703
1507 n/a n/a CTX216312 CTX223074
1511 n/a n/a CTX216312 CTX223074
1607 n/a n/a n/a CTX223074

Windows 10に関するあらゆる元文書→ CTX224843.

最後に:

いままでCitrixではCBをサポートしていませんでした。 マイクロソフトと協力してリリース戦略を調整した後、Citrixは顧客と一緒にパイロットプロセスに参加し、SAC-Targetedを含むようにカバレッジを拡大しました。 今後これにより、CitrixとMicrosoftの両方から新しいテクノロジを採用することが、より容易になるように進化してゆきます。
アジャイルリリースにおいては変化こそ不変です。
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免責事項:XenDesktopのバージョンまたはリリース日の参照は、あくまで暫定的なものであり、理解を助けるものです。
Citrixはこのブログに記載されているリリース日に関してはいかなる確約はできません。
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