XenApp/XenDesktop 7.11がリリースされました。HDXの画面転送モードの観点から7.6FP3(LTSR)から7.9、7.11と強化されましたのでここで再度整理したいと思います。
XenApp/XenDesktopといえば古くからICAプロトコルを利用した画面転送性能が特徴です。現在は様々なOS環境、ネットワーク環境、クライアントデバイスなどの要件に対応するために複数の画面転送オプションを用意しています。その画面転送モードは大きく3つになります。Thinwireがデフォルトでそれ以外を利用する場合はポリシーで設定します。
Thinwire | メインの画面転送モード。世代の古いクライアントとの互換性もある。 |
Framehawk | 高遅延、高パケットロスのネットワーク環境でのエクスペリエンスを高める。UDPでの転送 |
DCR | DCRはWindows 7以降のエアロ、デスクトップコンポジションの描画をクライアントにオフロード |
Thinwireは更新される画面領域をそれぞれのコンテンツに適した圧縮方式で転送します。またサーバー側で描画される動画についてはネットワーク状況にあわせて画質とフレームレートを自動で調整するようになっています。この動画の圧縮に関しては2種類あります。
一つがH.264によるビデオコーデックによる圧縮、もう一つはJPEGベースによるビデオコーデックを使わない圧縮方法です。ビデオコーデックを利用すると動画再生に関してのエクスペリエンスが最適化されます。しかしながらその分サーバーCPUの利用率があがります。またクライアント側でもH.264のデコードが行える必要があります。後者においては動画のエクスペリエンスは若干下がりますが、CPU使用率が最適化されます。
XenApp/XenDesktop 7.6FP3(LTSR)の場合
XenApp/XenDesktop 7.6FP3(LTSR)から「圧縮にビデオコーデックを使用する」ポリシーで、ビデオコーデックによる圧縮の有効化無効化を選択することにより、サーバー再生での動画のエクスペリエンスをとるかサーバスケーラビリティをとるかを選べるようになりました。デフォルトは「可能な場合はビデオコーデックを使用する」ですが、HDX MultimediaリダイレクションやFlashリダイレクションを使うことによる動画のクライアント再生機能もあることから、「ビデオコーデックを使用しない」こともご検討ください。
(重要)「従来のグラフィックモード」ですが、こちらはWindows 7かWindows Server 2008 R2(レガシOS)でビデオコーデックによる圧縮を利用しない場合のみ適用を検討して下さい。
XenApp/XenDesktop 7.11(Current Release)の場合
XenApp/XenDesktop 7.11より新しく頻繁に画面更新される領域に自動でH.264による動画圧縮を行う機能が追加になりました。これにより画面性能とサーバースケーラビリティのバランスがよくなりました。この場合、下の仮想アプリケーション/デスクトップの画面で、緑の点線が動画、赤が静止画および写真イメージ、青の点線がテキストになります。赤の部分はJPEGで、青はロスレス圧縮で、緑の部分をH.264で圧縮することで、スムーズな動画再生、文字などの視覚性の向上、使用帯域最適化とサーバースケーラビリティの向上のバランスをとることができます。
- VDA 7.11でかつReceiver for Windows 4.5またはReceiver for Linux 13.4であれば動画領域のみH.264で圧縮して転送されます。これは明示的に「領域をアクティブに変更」をポリシーで指定した場合と同じです。
- そうでない場合、VDA 7.9であれば動画領域をJPEGで圧縮し、CPU負荷を抑えて転送されます。これは明示的に「ビデオコーデックを使用しない」をポリシーを指定した場合と同じです。
- HDX 3D Proの場合は画面全体がH.264を使った圧縮で画面転送されます。これは明示的に「画面全体に使用」をポリシーで指定した時と同じです。
アプリケーション仮想化とVDI
https://www.citrix.co.jp/virtualization/
XenAppおよびXenDesktop
https://www.citrix.co.jp/products/xenapp-xendesktop/