エンゲージメントのレベルの高い人々が多い職場ほど、それらの人々がその組織の成功に貢献することは周知の事実です。しかし現代の従業員エクスペリエンスを高める要素とは何でしょうか?また従業員によるエンゲージメントのレベルを保ち、企業が最高の人材を惹き付けると共に維持するため、テクノロジーはどのような貢献をなし得るでしょうか?

シトリックスでは、総務省や東京都が主導する「テレワーク・デイズ2019」(7月22日(月)~9月6日(金)実施期間)」に賛同し、従業員にテレワークを呼びかけ、期間中の5日間以上の参加、また、2020年のオリンピック開会式にあたる24日(水)には従業員約100人を対象に、自宅、カフェ、コワーキングスペースなどで自社の製品を使った仕組みを活用したテレワークを実施しています。

シトリックスは、テクノロジーの役割は従業員が最大のパフォーマンスを発揮することであると考え、いつでも、どこでも、デバイスを選ばず仕事ができる仕組みを提供し、人材の採用や定着に不可欠な従業員エクスペリエンスを高めています。今回、「テレワーク・デイズ2019」に参加することで、日本におけるテレワークに対する理解の促進に努め、市場に新たな価値を生み出すことができると考えています。

テクノロジーと生産性については、面白いデータがあります。シトリックスは過去数か月にわたり、エコノミスト・インテリジェンス・ユニットと共に、

The Experience of Work: The Role of Technology in Productivity and Engagement(仕事のエクスペリエンス:生産性とエンゲージメントにおいてテクノロジーが果たす役割))』を調査してきました。ここでは以下の項目について把握を進めるため、日本を含め、8か国のさまざまな業界から1,100名を超えるテクノロジーとその他の分野のシニアリーダーを対象としてインタビューと調査が行われました。

より優れた従業員エクスペリエンス=より優れた業績

より良い従業員エクスペリエンスと業績改善との間に直接的な関係があることは、さまざまな地域や業界分野にわたる企業によって認識されると共に立証されています。この調査に回答した1,100名を超える人々のうち、43%はより優れた従業員エクスペリエンスがより優れた生産性をもたらすことを期待あるいは体験し、41%は従業員の生産性が向上し、36%は顧客のエクスペリエンスと満足度が向上し、また31%は利益率が改善したと述べています。この調査では、日本の回答者の48%は、従業員がよりよいエクスペリエンスを得られることで、従業員の生産性が向上すると回答しています。

仕事を容易にするものが実際に役立つテクノロジー

テクノロジーの過剰と複雑さは従業員エクスペリエンスを損ない、また従業員エンゲージメントに悪影響を及ぼす場合があります。そこでこの調査では、どのような要素が従業員のエンゲージメントと生産性を高めるかについて尋ねました。大半の人々は従業員のエンゲージメントを高める最大の要素として仕事に必要な情報とアプリケーションへのアクセスの容易さを挙げ、テレワークがそれに続きました(43%)。従業員エクスペリエンスとエンゲージメント向上に貢献するその他の項目としては、デバイスの選択肢の広さ、およびそれらの使いやすさが挙げられました。テレワークについては日本の回答者は、44%と全体の数字(43%)より高い数字でした。

ITと人事が交わるところ

従業員エクスペリエンスの向上はITだけの領域ではありません。これには「未来のリーダー」としての心構えとアプローチが求められ、ユーザーのニーズに答えたテクノロジーが導入され、またそれが人事やセキュリティ面でのポリシーに即したものであるよう、IT部門と人事部門の最高責任者が協力する必要があります。

この調査に回答したITと人事部門責任者のうち、それぞれ74%と75%が自らの組織における、あるいは全社的な従業員エクスペリエンスの向上を自分自身の責任であると捉えていました。しかしこれらの部門の間の協力には障壁も存在し、回答者の34%は相互の理解と成果を測定する指標の欠落が最大の課題だと述べています。しかしこの面では、ITと人事の両方が共通して使用できる従業員エクスペリエンス指標などのイニシアティブが役立つと期待されます(優れた成果を収めている組織の回答者の43%はこのような指標を導入していると述べています)。

従業員の能力を最大限に引き出す

これまでテクノロジーは、従業員の能力を最大限に引き出すためのツールとなってきました。人材獲得のための競争が激しくなり、従業員のエンゲージメントレベルが低くなっている現在、企業は従業員エクスペリエンスに対する視点を生産性向上だけのものを超えて拡げなければならないことを認識し始めています。

人材を惹き付け、そのエンゲージメントを高めるにあたり、テクノロジーが果たすべき役割人々から最高のものを引き出すことです。職場のテクノロジーは情報やアプリケーションへのアクセスを容易にし、1日の仕事から「ノイズ」や妨げとなるものを除去し、従業員が最高の成果を挙げられるよう適切なインサイトとアプリケーションを提供する必要があります。このような人工知能や機械学習をガイドとする仕事の進め方を統一された形で利用できることによって、従業員によるイノベーションには劇的に迅速化され、また拡大される可能性が生まれます。仕事の未来はここにあり、また企業や組織は仕事の意味を捉え直し、従業員が求めるエクスペリエンスを提供することによって業績を改善することが可能になります。

従業員エクスペリエンスとITに関する筆者の他の記事はMediumをご覧ください。レポート全文はtheexperienceofwork.economist.comからダウンロードしていただけます。

日本を対象にした調査結果は、こちらからご確認できます。