なぜ今、シチズンデベロッパーを受け入れ支援するべきなのか

ワークスペーステクノロジーの革新を生み出しているのは、ITの専門家だけではありません。イノベーションが生まれる組織となるために欠かすことのできないシチズンデベロッパーとは何か、また、なぜ彼らを成功に導くべきなのかについてお話しします。

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2021年6月29日

あなたの組織で最高の従業員を思い浮かべてください。そしてその人が、チームの作業方法でうまく機能していないプロセスを発見したとしましょう。その理想的な従業員は、どのように対応すると思いますか?問題をあなたに報告するでしょうか?IT部門に文句を言うでしょうか?無視して、他の人が解決策を見つけてくれるのを待つでしょうか?そんなことはありません。優秀な従業員なら、非効率の問題に直面したときは自ら問題に取り組み、その問題が自分の能力を超えている場合にのみ、問題を提起するはずでしょう。

このように、自ら解決策を生み出し共有できる権限を与えられた従業員という理想の形が、シチズンデベロッパーの基本であり、テクノロジーリーダーの33%が、自分の組織イノベーションにおいて、このような動きが増えていると報告しています。市民開発について学び、自分の組織にいるシチズンデベロッパーを見出せば、従業員にさらなるイノベーションを促し競合他社よりも優位に立つことができるでしょう。この記事では、シチズンデベロッパーとは何か、市民開発を取り入れることの利点、市民開発の組織的リスクを軽減する方法について考察します。

シチズンデベロッパーとはどんな人か?そして彼らを見つける方法とは?

ガートナー社は、シチズンデベロッパーについて「IT部門やビジネス部門が積極的に禁止していないツールを使用して、自分自身や他人が消費するためのアプリケーション機能を作成する従業員」と定義しています。シチズンデベロッパーは、IT部門の外で働くビジネステクノロジストとして、プロセスを調べ、それをどのように強化し、自動化できるかを考えます。シチズンデベロッパーは、多忙なITチームが技術的な修正をしてくれるのを待つのではなく、新しいソリューションを生み出すことでビジネス目標を達成します。シチズンデベロッパーが開発したアプリの65%はユーザーの業務遂行を助け、42%は業務プロセスの最適化を実現し、27%は顧客を念頭に置いて作られています。

では、あなたの会社でシチズンデベロッパーを見つけるにはどうしたらいいでしょうか?最初に思い浮かぶのは、独学のプログラマーを探すことかもしれません。しかし、今日のローコードやビジュアルな環境では、開発経験のない従業員でも既存の仕事用プラットフォームの機能拡張を自分で設計することができます。よって独学のプログラマーを探す代わりに、自分たちのチームが業務を簡素化するために自作の機能拡張や自動化を行っていないかマネージャーに聞いてみましょう。そのようなカスタマイズを認識し、あなたが価値を認めていることを明らかにすれば、その改善を行ったシチズンデベロッパーは安心して名乗り出るでしょう。また、ハッカソンやその他の社内コンテストで、シチズンデベロッパー探しをゲーム化することもできます。シチズンデベロッパーが誰であるかが分かれば、彼らが革新的な仕事を続けられるようにサポートし、励ますことができるのです。

シチズンデベロッパーの利点は?

組織にシチズンデベロッパーを取り入れる理由は数多くありますが、最も重要なのは、ビジネスの問題解決をスピードアップすることです。シチズンデベロッパーは仕事が早く、従来の方法に比べて10倍もの速さでソフトウェアの開発サイクルを終えることができます。システム開発プロセスにおいて、非常に心強い存在です。また、デジタルワークスペース環境のカスタマイズが容易になると、シチズンデベロッパーはマイクロアプリの開発、自動化の定義、AIや機械学習との統合など、高度な修正を行うことができます。このように時間を節約できるシチズンデベロッパーが修正を行えば、ITチームが困難な問題に取り組む時間が確保できると同時に、士気や従業員エンゲージメントの向上にもつながります。

業務プロセスの最適化や効率化のメリットだけでなく、市民開発は主要なプロセスや自動化の機会について理解を深めるのにも役立ちます。アプリケーションやプロセスを自作で拡張したものの多くは、組織全体や顧客に利益をもたらすようにスケールアップすることができます。このような修正を行ったシチズンデベロッパーを公に評価することで、企業内での新しいキャリアパスやリーダーシップのポジションを開拓することもできます。これは、シチズンデベロッパーの新しいソリューションを承認するだけでなく、革新的な仕事を奨励し報酬を与えることを彼らに示すことになります。

市民開発のリスクを管理する方法

市民開発には多くの利点がありますが、リスクがないわけではありません。市民開発の最大の落とし穴は、しばしばその従業員にデータセキュリティおよびコンプライアンスの高度な理解がないことです。シチズンデベロッパーは、組織のセキュリティとプライバシーの基準に沿って構築されていることを確認するよりも、機能拡張の最終結果を重視することが多いのです。つまり明確なITガバナンスフレームワークなど、適切なガバナンスがなければ、コンプライアンス上の問題やデータ漏洩の危険にさらされることになります。また、シチズンデベロッパーは自分の作業を文書化してチーム外と共有しないことが多いため、自作で最適化したものを監督・管理することは困難です。システムなどの開発はライフサイクルプロセスであるため、構想から廃止までのライフサイクルは、あらゆるタイプの開発者が尊重しなければなりません。

これらのリスクを管理する最善の方法は、コードレビューや組織の安全な開発手法の遵守など、組織の他の部分で使用されているITガバナンスシステムにシチズンデベロッパーを組み込むことです。シチズンデベロッパーには、セキュリティを考慮したコーディング方法やデータコンプライアンスのルールについてトレーニングを行いましょう。また、社内外のアプリケーションのプログラミングインターフェイスが適切に使用されているかどうかを評価するために、APIの使用状況を必ず監視してください。フルタイムのITスタッフやソフトウェアエンジニアと同じように、自社で開発したシチズンデベロッパーに敬意を持って接することで、彼らのスキルを向上させ、革新的な仕事を続けるモチベーションを高めることができます。

市民開発の革新性を生かす

問題に対して革新的な解決策を求めるモチベーションの高い従業員がいる限り、組織にはシチズンデベロッパーが生まれます。彼らの革新的なアイデアを受け入れ、彼らの意欲を削がないことが重要です。シチズンデベロッパーを認識し、サポート、トレーニングすることで、組織内にイノベーションの文化が生まれ、ビジネスプロセスが最適化されるだけでなく、すべての従業員が最高の仕事をするために、より新しくより良い方法を想像する意欲を高めることができるのです。