業界をリードする大手企業2社が、柔軟性の高いワークモデルに未来の可能性を見出す理由

パンデミックに見舞われた際、大半のナレッジベース産業はほぼ即座にワークモデルをシフトし、リモート主体の働き方へと移行しました。

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2020年12月18日  

物理的なワークスペースはデジタル空間へと移行し、テクノロジーがより一層重要性を担う中、ビジネスリーダーたちは従業員エクスペリエンスをカスタマイズすることによって、多くの人が予想もしなかった時代へと適応しようと取り組み始めています。現在、44%のITリーダーたちは、新型コロナによってもたらされた危機がデジタルトランスフォーメーションを1年以上のスピードで加速したと確信しています。

「必要は発明の母」ということわざがあります。しかし必要性とは複合的な結果をもたらし得るものです。大半の組織は、パンデミックに伴う在宅勤務を通して生産性が向上したと同時に過労(バーンアウト)も増加したと報告しています。大半の従業員たちは疲労を感じつつも、在宅勤務の継続を希望しています。リモートワークが応急処置的な策から恒久的なソリューションへと移行するにあたり、企業にはプレイブック(戦略プラン)が必要となりました。しかしこのプレイブックは、本社での勤務かキッチンテーブルでの勤務といった二者択一的なものではありません。これは柔軟性のある働き方を目指すものであり、これを活用することによって、不必要な要素や長期的な成功を確立する要素の特定ができるよう、戦術を用いながらリーダーをサポートするものです。

好例として挙げることができるのは、Atrium Healthの戦略的不動産プランニング部門ディレクターであるLaMonte Johnsonと、シトリックスの不動産&戦略部門ディレクターのJenna Geigermanが対談したFieldwork by Citrix(シトリックスによるフィールドワーク)です。両者ともワークモデルの永続的な転換の影響力等を検討・評価している人物です。それぞれの企業はヘルスケアとテクノロジーという全く違う分野を専門とし、根本的に異なる2社ですが、両社とも柔軟なアプローチを仕事への取り組み方に取り入れることで既に利益を得ています。

以下では、JohnsonとGeigermanによる柔軟性のあるワーク戦略を適切に実装するための4ステップをご紹介します。

ステップ1:影響を観察する

成功する長期的戦略の導入の第一段階は、導入による影響を最も受けたビジネスを見積もり、評価することです。こうしたエリアの大半は容易に特定することができます。

「企業サービスの側面を見ると、私たちのチームメンバーの大半は週5日間オフィスで勤務していました。彼らは介護施設で勤務しているチームメンバーとは区別され、例えば金融、人事、運営内で勤務するチームメンバーがこれに当たります。彼らは、新型コロナ以前は物理的な環境で働いていたのです。そして新型コロナを境にすべてが変わりました。8,000名以上の人々が3月に在宅勤務へと移行し、現在もこの勤務形態を継続しています」とJohnsonは述べています。

Geigermanもシトリックス内で起こった同様の変化を報告しており、彼女はマイナスの側面とプラスの側面の両方に注目しています。

人々は物理的な環境からエネルギーを得ています。しかし影響が及ぶのは生産性ではなく、対面式の交流によってもたらされるコラボレーションとイノベーションなのです。

Jenna Geigerman
不動産&戦略部門ディレクター
シトリックス 

「もしあなたが世界的に分散したチームに所属している場合、パンデミックにより誰もが在宅勤務するようになったことで現在の方がより一層つながりを感じることでしょう。以前は勤務エクスペリエンスに不平等がありましたが、パンデミックによりこれが平等化しました。チームはミーティングルームとリモート空間という形で二分されることはなくなったのです」

ステップ2:従業員の希望を測定・把握する


JohnsonとGeigermanの両者が、アンケート調査はすぐに従業員の好みや希望を測定できる方法であると述べており、これはチームがリモートであってもワークプレイスに出勤する場合であっても有効です。JohnsonはAtrium Healthで複数のリモートワークに関する調査を実施していると述べ、質問内容には「在宅勤務はどうですか?」や「効率性を高めるために必要なものはありますか?」といった問いが含まれます。こうした調査を通して、彼のチームは改善可能なエリアを見つけることができたのと同時に、リモートワークの利点をさらに発見することとなりました。

リモートで勤務するAtrium Healthの従業員は、リモート勤務を通して対面式のコラボレーションを恋しく思っていることや定期的な顔合わせの機会が非常に限られていることを報告しています。「しかし彼らは以前と同様の程度でオフィスに戻ることを望んではいません」とJohnsonは述べています。

従業員が最も多く回答していたのは安全な環境を望んでいたということです。自宅からの勤務の方が安全だと感じ、仕事とプライベートのより良いバランスを見つけることができたのです。そして生産性は向上または維持されました。

LaMonte Johnson
戦略的不動産プランニング部門ディレクター
Atrium Health  

シトリックスも同様のアプローチを採用しており、定期的な意識調査(パルスサーベイ)を実施することで従業員の意見や考えを把握できるようにしています。Geigermanのチームは人事部と連携してアンケート調査を作成し、オフィス復帰に対して従業員が抱く安心感を正確に測定・評価できるようにしました。彼らは第3段階の占有率に引き上げる準備をしていたため、この調査は複数のサイトに送られました。

「従業員がオフィスに戻る理由をより良く理解し、実際に従業員がオフィス復帰するのかどうかを知ることができる方法があれば素晴らしいのに、と思います。従業員たちは柔軟性を仕事に望んでいるのです」と彼女は述べています。

ステップ3:リソースを最適化する


長期的で柔軟性のあるワーク戦略を作成するための次の段階は、どのリソースを優先させるのかを再考し特定することです。「効率性、安全性の理由から、共有オフィスの減少、またオフィスリソースの最適化を検討しています」とJohnsonは述べ、次のように続けています。「最終的には、オフィス内に専用の場所がなくてもチームメンバーが効率的かつ快適にコラボレーションを行い、業務に励むことができるようにしたいと考えています」

また彼は最後に、Atriumは2021年には不動産に関してよりクリエイティブなアプローチを取るであろうと述べ、実際にこのアプローチはAtriumの戦略ビジョンをサポートするためにより多くのリソースを割り当てることを意味する場合があるとしています。「こうしたコスト削減は私たちの優先事項である医療イニシアチブのサポートへと回ります」と彼は述べています。

一方Geigermanはシトリックスの企業文化の信念を利用し、こうした複雑な決断に彼女のアプローチを取り入れています。「私たちは以前からずっとデータを軸とした企業です。そして私たちはすでにセンサーの開発・理解に取り組み、どの部屋が予約されているのか、そしてなぜ予約されたのかといったユーザーの行動を理解することができます。このおかげで、うまく機能していない要素を避けながら機能しているものをより多く構築することができるようになるのです。現在私たちはコラボレーションスペースがどのように使用されているのかを理解するセンサーを検討し、可能性や機会に満ちた空間を生み出すためにユーザーの好みをマッピングしています」

「現在、こうした空間がどのようなものであるか、それを観念化するために設計の実践が行われています。ポートフォリオ全体を一度に見直すことは不可能なので、まずは既存の空間にひねりを加えることから始めます。もちろん理想的な働き方の未来シナリオを元に新しいものを構築する機会にも目を向けながら進めています」

最適化とは単なる社内ゴールではない、とJohnsonは述べています。この決断は患者にも良い影響をもたらすものであると彼は確信しています。「私たちの大半は(患者との)直接的な関わりはありませんが、常に彼らのことを最優先に考えています。そして私たちが自身のリソースや空間の利用を最適化することができるかどうか、そして健康の向上、希望の拡大、患者全員の治療促進といった私たちの使命をより良くサポートすることができるかどうかということを、常に考える必要があるのです」

ステップ4:コラボレーションの文化を促進する


従業員がリモートワークを長期的かつ効果的に実現するためは、在宅勤務中のコミュニケーションとチームワークの取り方をきちんと教え、継続的に強化する必要があります。Johnson は以下のように述べています。「現在の従業員には私たちの企業文化がしっかりと根付いていますが、新規雇用の社員たちにとっては非常に重要な要素となります」

「私たちのチームサポートとともに人事部がこの課題を優先的に考えています。またチームメイトをより良くサポートするための方法をITが学び、育み、特定し続けていることも把握しています。私たちにとっては大きな変革ですが、正しい方向を目指していると言えるでしょう」

Geigermanも彼の意見に同意しており、「パンデミックがもたらしてくれた恩恵のひとつは、人事部、IT、不動産が、法務やセキュリティと密接に連携しながら業務に励む機会をもたらしたことです。人事部は私たちのアプローチを実現するためにデータの収集をサポートし、ITはリモート環境で働く従業員のサポートを積極的に行い、異なる働き方を支援するツールを提供しました」

「素晴らしい取り組みのあらゆる側面に注目してください。そしてチームが様々な時点で提供してくれた情報を用いながらベストな選択を行い、時には誤った判断に対しても寛容になりましょう」

課題を乗り越える


パンデミックは、多くの組織がかつて直面してきた構造的な変化よりもさらに急激な変化をもたらしました。しかしデジタルに特化した組織にとっては、この変化は課題であると同時に絶好の機会となりました。

ビジネスがこうした不確かな未知の領域を切り抜けていくにあたり、JohnsonやGeigermanを始めとする人々の意見や助言がリモートな働き方を柔軟性の高いものへと移行する際の助けとなってくれるはずです。しかし今日機能していたものが、明日には過去の情報となってしまう可能性があるということも忘れないでください。「適応」こそが、常に最も効果的な戦略なのです。

「私たちはまだ学びの途中であり、これからもさらなる成長を目指して学び続けていきます」とJohnsonは語っています。