企業の働き方改革を成功に導くポイントとは?

働き方改革というと、長時間労働の是正や在宅勤務の実現が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、それだけではありません。様々なお客様の状況としては、もっと問題の空間も解の空間も広く深いのが実情です。企業のイノベーションのため、現場の生産性向上のため、あるいはミーティングの質の向上のためなど背景や課題は様々です。
それでは、働き方改革を成功に導くポイントについて検討していきましょう。

働き方改革の定義や目的は企業ごとに非常に多様であり、特定の目的だけを実現するものではありません。実際には企業が厳しい生存競争に勝ち残るための重要な戦略の中の一つに、働き方改革が位置づけられているという構造になっています。そして企業や組織がそれぞれ、目的を定義しています。とはいえ、企業が働き方改革に着手しようとする背景には、共通した3 つの大きな要因があると思われます。ひとつ目はグローバル化をはじめとした競争の激化です。これは今に始まったものではありませんが一層加速しており、よりコスト競争が激しくなる中でどんな戦略が必要になるのかという検討があります。2つ目に、働いた分だけ売上や利益が上げられる時代ではなくなりました。知識やアイデアによって大きなビジネスを展開することができ、労働時間が必ずしも価値に繋がるわけではないというのが現状です。この観点から企業は、高付加価値・高生産性を追求せざるを得ません。他社が真似できないこと(イノベーション、そのための優秀な人材の確保)や、より生産性の高いやり方にシフトしていきます。3つ目として、さらに重要なポイントがあります。国内の人口は減少し始めており、経済的な規模や国力の維持が難しくなっている点です。これは企業の経済的な活動の規模が縮小していくことに繋がるため、多様な人材の活用によって労働力を確保しようという動きが高まっています。働く個人の事情に配慮したり、労働人口を維持するための施策、企業による有益な人材を確保するための検討などです。こういった施策が働き方改革の中核になっていることが多いと言えます。

さて、各組織が定義する働き方改革の目的は様々ですが、それを実現するための施策をIT活用の観点で見ると、幾つかの目的が見えてきます。ここでは一般的に分類されることの多い業務の効率化、コラボレーション、柔軟な働き方という 3 つの目的について整理します。

これらの目的のひとつだけにフォーカスする場合もあれば、全て取り組む場合もありますが、その企業・組織にとっての優先度を検討することが重要です。次に、それぞれの目的について説明します。

たとえば営業、設備点検、医師といった、移動を伴う業務特性をもつ職種、または人が実際に動くという観点でサービス業に関わる方々にあてはまります。ポイントは移動に伴う時間の節約や時間の有効活用です。モバイル端末やクラウドサービスの活用をイメージするとわかりやすいです。これは、現場でお客様へ迅速・タイムリーな情報提供を可能にすることで、顧客満足度を向上させる狙いもあります。

知識やアイデアを軸にした革新的な製品やサービスが、競争優位を考える上で重要となる企業(製造業やテクノロジー企業)などは、いわゆるイノベーションが重視されます。より広範囲の組織(部署間や協力会社など)にわたって、情報や知識を共有することで開発サイクルの短縮化や問題解決スピードの向上を狙ったり、多様なメンバーで情報交換することで、新たなアイデアの発想を目指す場合が該当します。

社会背景の変化を受けて、柔軟な働き方が必要とされています。たとえば、在宅勤務やテレワーク制度の導入といったものが挙げられます。柔軟な働き方を実現するには、上述の a,b とは異なり、定量的な効果測定や評価が視覚化しにくいため、組織内での意思決定をしにくいという特徴があります。また、公共性が高いサービスを提供する企業・組織においては、こういった働き方を受け入れにくい面があります。業種や職種毎に、実現できる柔軟性の程度に違いがあることを認識しておく必要があります。

以上、働き方改革における3つの主要な目的を紹介しましたが、これらは働き方改革プロジェクトを推進する上での参考になるでしょう。

働き方改革の目標設定がなされると、次にプロジェクトとして推進していくことになりますが、まずどのような体制を作って何をやればいいのかということになります。一般的に働き方改革と言われるプロジェクトは、目的を達成するために時間や場所を緩和した働き方を実現する場合がほとんどです。従って、働く上での様々な制度やルール、利用するITツールなど様々な観点から検討していくことになります。そのため、IT 部門だけでは働き方改革を実行することはできません。経営陣、経営企画、人事、総務、IT 部門が一丸となって、プロジェクト推進組織を構成することが一般的です。この推進組織が専任なのか、バーチャルなのかは企業・組織によって様々ですが、基本的には、多様な組織のリーダーシップで構成された推進組織に、変革推進の権限が付与される形になります。

変革推進の組織化

* 関連部署のリーダーシップの関与と合意
*. 変革のための権限

働き方改革プロジェクトで具体的に検討されるポイントを見ていきましょう。本質的にやることは「新しい働き方」における制度やルールの改変と、新しい働き方を阻害しかねない、組織に根付いた文化やオペレーションからの脱却です。そして最後に、ITツールの選定です。
まず、経営陣が、なぜ改革が必要なのかというメッセージを組織に送り続けることが重要です。並行して、人事評価や労務管理の観点で、人事・総務部を中心に、新しい働き方においてどう人を管理・評価するのかの再検討が必要になってきます。IT部門は、機密情報をどう守るかについてのセキュリティ観点の検討が必要です。一定の時間オフィスにいることで業務を行ったとみなす価値観や、紙文化など物理的なものに依存した業務のあり方・オペレーションからの脱却を推進していく必要もあります。そして最後に、新しい働き方のために必要となるITツール(システム・しくみ)の検討を行っていくことになります。

次に、働き方改革プロジェクト推進のアプローチについて考えてみましょう。推進のアプローチは、上述した働き方改革の3つの目的毎に少しずつ異なりますが、共通して言えることは最初から広範囲の組織に展開するのではなく、特定の部署や役職、あるいは介護を抱えているといった特定の条件の人からトライアルで始めることが一般的です。なぜなら、新しい働き方を定着させるには時間がかかりますし、組織にとって最適なルールや制度を確立させるためには、相応の時間を要するからです。そのためトライアルが非常に重要になってきます。このトライアルにおいて KPI を設定し評価しながら、少しずつ対象を拡大していきます。そしてこの中で試行錯誤やフィードバックによる改善活動を行うことも非常に重要です(制度やルール、利用するITツールに関わるフィードバックと改善を、一定期間繰り返していく)。このプロセスがないと、現場のニーズに即していない制度やルールが出来上がることになり、誰も利用しないものになる可能性があります。また、設定した KPI に基づき、効果(定性でも定量でも)についてしっかり評価、可視化し、組織全体へ共有していくことも大切です。これらを行わなければ、組織のプロジェクトとして成立しません。

働き方改革プロジェクトの中で頻出する課題を見てみましょう。これらは、ITツール(システム・しくみ) だけで解決できる範疇に留まらないため、前述したように推進組織内で協業することが必要です。同時に、予め課題に対する解決策を練っておくことが大切です。

なぜ働き方改革を実行するのかの目的が共有されないと、各組織間の足並みが揃わないという状況が発生し、改革を推進する雰囲気が形成されない状況に陥ることがあります。なぜ働き方改革をやるのか?について、推進組織が一丸となって、組織全体に認識させることが重要です。その観点から、前述した推進組織の形成はもちろん、その推進組織において、何のためにやるのかという議論と目的の共有が徹底されなければなりません。

働き方を変えるというプロセスは、昨今の企業組織の多くが経験したことがないと言えるでしょう。つまり、今までの延長にある改善すべき事柄ではなく、全く新しい取り組みです。つまり、真似すればいい教科書のようなものがありません。この点については、先行して働き方改革を実践している企業・組織の経験から学ぶこと、また、実践しながら試行錯誤を繰り返していくことが重要です。

ここは、人事部門が中心的な役割をはたす領域ですが、新しい働き方において、どのように従業員が評価されるべきなのか、どのように管理されるべきなのかという議論を行います。また、中間管理職にあたる人々のスキルセットの変革も必要です。会社で働いていた部下が時々、リモートで業務を行うということになると、部下とのコミュニケーションを円滑にできるスキルは必須となってきます。また、部下の目標設定、評価を適切に行うスキルも必要になります。

従来は会社に来て時間と場所が固定された環境で働くことが前提だったので、会社に行けばコミュニケーションがとれました。つまり業務は、フェイストゥーフェイスが前提でした。これが、時間や場所が緩和されて働くことができるようになると、業務内容や成果物によっては、今までのスピードと品質を確保できるかどうかの議論になります。そこで、リモートで働くユーザーの状況(顧客先なのか、ある業務で取り込み中なのか、休憩中なのかなど)を視覚化し、必要なタイミングでコミュニケーションができるような仕組みも検討しておく必要があります。

働き方を変えるためには、ITツールの活用も重要になってきます。ITツールを活用するには一定の情報リテラシが必要になる場合があります(全員がツールを使いこなせて初めて効果が出るという場合もあります)。例えば、渉外営業にタブレット端末を配布して効率的な営業活動を実現してもらおうとしても、タブレットを使いこなせなければ効率化にはつながりません。また、コラボレーションツールは、多くのユーザーが活用できなければ、知識の共有を十分にできません。そして、機密情報を守る意識が欠如している従業員がいると、人的な要因で情報漏えいが起きかねないので、一定の情報リテラシを従業員に身につけさせる必要があります。この定着化は、トライアルおよび対象範囲を拡大していく段階でも、しっかり行う必要があります。

どんなプロジェクトでも費用対効果を説明する必要がありますが、働き方改革による効果は、今までのIT プロジェクトのように単なるコスト削減の話だけで説明すべきものではありません。つまり、改革によって得られる多様な効果を説明できる必要があります。また、ワークライフバランスをはじめとする柔軟な働き方の実現など、企業にとって定量的効果が即座に見えにくいプロジェクトは、経営者レベルの強い問題意識と実行力が必要になります。こういった費用対効果が見えにくいケースについては、前述したように、小さく始めて効果をうまく整理しつつ、徐々に対象を拡大していく形で進めましょう。定性的および定量的、両方の側面で検討して整理することが必要です。

セキュリティの確保は、働き方改革を推進する上で切り離せない課題です。したがって、ITツールの選定と活用が非常に重要になります。リモートから業務を遂行するとなると、セキュリティの境界の考え方が全く変わるため、新しい働き方を想定して、どこに情報管理上のリスクが存在するのかを再整理することが必要になります。その上でリスクを回避するためのテクノロジーを選定し、ユーザーへのセキュリティ意識の啓蒙をしていくということになります。

前述したように、働き方改革は ITツール だけで実現できるものではありませんが、一方でIT で実現できる部分も非常に多くあります。4章で解説した働き方改革における課題を踏まえて、 ITツールで実現できる領域を整理し、求められる重要な要件とその中身を考えてみましょう。

多様な業務をカバーできるテクノロジーが統合されていること
多様な業務をカバーできるということは、柔軟で生産性の高い働き方をより多くの従業員に展開できるため、期待できる効果も大きくなります。また、特定の部署に絞って柔軟な働き方を導入するにとどまると、どうしても不公平感につながってしまいます。この観点からも、幅広い業務をカバーできるテクノロジーを導入することは非常に重要なポイントになります。具体的には、業務に必要になる多様なアプリケーション、多様なデバイス、多様な周辺機器がリモート環境で利用可能になっていて、それらがストレスなくかつセキュリティを確保した状態で使えることが重要です。
例えば、アプリケーションについては、一般的なオフィスアプリケーションに限らず、音声、動画、高精細画像を含むリッチコンテンツを扱うアプリケーション、サービスとしての SaaS アプリケーションなど、多様なアプリケーションがシームレスに利用できることが期待されます。デバイスについては、ユーザーの業務オペレーション毎に適したデバイスを選択できるように、多様なデバイスをサポートする仕組みが期待されます。たとえば、スマートフォン、タブレット、PC、シンクライアント端末 (各デバイス上で動作している様々な OS も含む)などです。
周辺機器については、多様な周辺機器を利用できるようになっていないと業務を遂行できない場合もあります。たとえば、USB デバイス、プリンター、スキャナなどが手元のデバイスで動作するようになっていなければなりません。

リモートユーザーの環境においてセキュリティを確保できること

多様な業務をカバーする必要がある一方で、様々なユーザーが、様々な場所から、様々なデバイスを使って社内のアプリケーションやデータにアクセスして業務を遂行することになるので、しっかり情報のセキュリティを確保するための検討が重要です。まずは情報の機密レベルに応じて、データを手元のデバイスに保存させない仕組みや、保存できてもデータは暗号化され、かつ、リモートから必要に応じてIT管理者がデータを削除できるような仕組みが必要です。同時に、業務の生産性を低下させないために、誰が、どんなデバイスを使って、どんなネットワークを通じて社内資産にアクセスするのか等を判別し、その状況に応じて、リモートから使えるアプリケーションや、周辺機器(リモートのデバイスに接続されるUSB デバイスやプリンターなど)に制限をかけられることも重要なポイントになります。

このように、働き方改革の推進には、多様な従業員の柔軟な働き方をサポートするための統合されたテクノロジーと、従業員の働く状況に応じて、適切なセキュリティレベルを実現するための仕組みが必要です。
働き方改革を実現するためのITツールとしては、たとえば仮想デスクトップ、モバイルデバイス管理(MDM, MAM)、クラウドストレージサービス、コラボレーションツールといったものが挙げられます。これらのテクノロジーをすべて統合し、かつ、セキュリティを確保できるソリューションが必要です。シトリックスはまさにこの要件を実現する統合ソリューションを提供しています。

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