Citrix Virtual Apps and Desktops の活用で実験設備の セキュアなグローバル共用を実現

日産自動車デジタルモノづくり本部では、シトリックスの仮想化ソリューション「Citrix Virtual Apps and Desktops」によって、自動車のパワートレイン制御システムの実験設備をグローバ ルに共用できる環境を構築し、2019年10月から本番運用を開始しました。この取り組みにより、 研究開発の生産性向上とコスト削減を両立させています。

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課 題: 検証実験の効率化とコスト削減を目指し 実験設備のグローバル共用の実現へ

自動車業界ではいま、サステイナブル・モビリティ(持 続可能な移動社会)を目指し、電気自動車へのシフトが 急速に進みつつあります。そうした電気自動車市場を リードしているのが、日産自動車です。同社が2010年 に発売した世界初の量産型100%電気自動車「リーフ」 は、2019年に世界累計出荷台数が40万台を突破。ま た、ガソリンエンジンで発電した電気をバッテリーに蓄 電し、モーターで駆動する「e-POWER」搭載車を次々 に登場させるなど、電気自動車を中心に据えた事業戦 略を加速させています。一方で、従来からのエンジン (内燃機関)についても、燃費向上や排気ガスのクリー ン化の取り組み含め、引き続き技術革新の取り組みが 活発に行われています。

日産自動車デジタルモノづくり本部は、こうした日産の 新しいモノづくりを技術的な側面から支援する部門で す。同本部の山本 好道氏によると「研究開発部門のデ ジタルトランスフォーメーションを推進するために、エ ンジニアが必要とするデジタルソリューションを俊敏に 提供することが最大の使命」だと言います。

そんな同本部の取り組みの一つに、製造プロセスの一部にデジタル技術を活用するデジタルツインがあり ます。日産では、製造プロセスの多くにデジタルツイ ンを取り入れており、その比率は徐々に高まりつつ あるそうです。
例えば、今日の自動車は、電気自動車のパワートレイ ン(駆動装置)など、さまざまな装置・機器が複雑な 電子制御ロジックによって動いています。それらの ロジックを組み込んだ電子制御ユニット(ECU)を開 発する場合、実際に自動車に搭載して試験を行う前 に、幾度となく検証実験と改善を繰り返す必要があ ります。しかし、検証実験のたびに実験設備や環境 を用意することは効率的ではなく、膨大なコストも かかります。こうした課題を解決するためにデジタ ルツインを取り入れ、デジタル上の仮想環境で検証 実験を行っているわけです。

日産自動車では、このようなデジタルツインによる 実験設備・環境を構築・運用してきました。具体的 には、パワートレインを制御するECUの実機を用意 し、それをデジタルシステム上に再現した仮想的な 自動車に接続して「HIL(ハードウェアインザループ) シミュレーション(*1)」をリアルタイムに実行してい るのです。
「検証実験は、欧州や北米などグローバルの研究 開発拠点がそれぞれ独自に行いますので、本来的 には、それぞれの研究開発拠点に実験設備・環境 を用意しなければなりません。しかし、検証実験は 非常に業務負荷の高いプロセスですし、設備の構 築・維持にも相当のコストがかかります。そのため、 すべての研究開発拠点に実験設備や、それを維持 するための人的リソースを用意することは困難で した」(山本氏)

この課題を解決するために日産は、日本の研究開発 拠点であるテクニカルセンターに設置した実験設備 を、グローバルの研究開発拠点からでも利用する方 法をとることにしました。ところがこの方法にも課題 がありました。

「実験設備のグローバル共用を実現するには、設備 をコントロールするためのデスクトップ環境をリモー トから操作できるようにしなければなりません。とこ ろが、日産のセキュリティポリシー上、リモートデスク トップの利用は原則として認められておらず、認証基 盤と連携できるなどセキュリティポリシーに準拠し ながら実験設備のグローバル共用を可能にする仕 組みを導入する必要がありました」(山本氏

グローバル IT 本部 IT インフラサービス部の野 口博隆氏は、具体的な検討のプロセスについて 補足します。
「 仮 想 デ ス ク ト ッ プ の 選 定 に あ た り 、各 社 の 製 品 を 比較検証しました。その中で、機能や性能面での 優 位 性 だ け で な く 、使 い 勝 手 や 将 来 性 、ネ ッ ト ワ ークやハードウェア リソース利用量を 最小限に押さえ、 最大限の効果を発 揮できるソリュー ションを採用した く、XenDesktop を選択しました。 実際の検討にあ たっては、日本 ヒューレット・パッカードに全面的な協力を頂き、ラボへ検証環境を 構築し、エンドユーザーからのフィードバックをも らいながら検討を進めました」。

ソリューション: Citrix Virtual Apps and Desktopsを 活用し実験設備を グローバル&セキュアに共用

上述した課題を解決する一手として、同社が考えた のが、「Citrix Virtual Apps and Desktops(*2)」の 活用です。
「当社では、遠隔地からリモートで利用できるeVDI (エンジニアリング仮想デスクトップ基盤)をシトリッ クスのソリューションを利用して構築・運用してい るという実績があります。そこで、実験設備のグ ローバル共用にもシトリックスのソリューションを取 り入れられないかと考え、Citrix Virtual Apps and Desktopsの導入を検討することにしました」 (山本氏)

こうして日産では、テクニカルセンター内にある実 験設備(HILシミュレーションシステム)と直結した仮 想デスクトップクライアントを用意し、まずはインド や欧州の研究開発拠点からリモートで利用できる かどうかを確かめるPoC(概念実証)を2018年6 月から12月までの約半年をかけて実施しました。
「海外の研究開発拠点で利用しているネットワーク 回線の中には、十分な帯域を確保できないものも あります。PoCでは、そうした拠点からでも遅延な く利用できるかどうかを確認し、結果として、欧州の 拠点から問題なく利用できることが分かり、Citrix Virtual Apps and Desktopsの採用に踏み切りま した」(山本氏)

導入効果と今後のプラン: 実験設備のグローバル共用により システム維持費/人的コストの抑制が可能に

実験設備のグローバル共用に向けて、同社が Citrix Virtual Apps and Desktops の本番導 入作業を開始したのは、2019 年4 月のこと。す でに一部は運用を開始しており、最終的には5カ 所のグローバル研究開発拠点からアクセスでき る実験設備の利用環境を整備する予定です。 「Citrix Virtual Apps and Desktops を使っ て実験設備のグローバル共用を実現したことで、 各拠点に実験設備を用意したり、増強したりする 必要がなくなりました。これにより、設備の稼働 率を高めつつ、グローバル全体での設備導入費 や設備維持のための人的コスト、さらには、実験 のための人の移動コストがかなり抑制できると 期待しています」(山本氏)
また将来的には、Citrix Virtual Apps and Desktopsを使って今回構築した実験設備の共 同利用環境と、仮想デスクトップ環境の基盤を統 合化し、運用管理の効率性とコンピューティング リソースの使用効率をさらに高めていくことも視 野に入れているといいます。

「私たちの大きなミッションの一つは、研究開発部 門が必要とする設備の稼働率を上げ、トータルコ ストを下げることです。今後も、Citrix Virtual Apps and Desktopsによって業務の効率化やコ スト削減につながるアプリケーションがあれば導 入を積極的に検討していくつもりです」(山本氏)

*1 HIL(ハードウェアインザループ)シミュレーション:自動車に搭載する電 子コントロールユニット(ECU)を検証するためにシミュレーションを行うテ ストシステムのこと。
*2旧称Citrix XenApp、XenDesktop

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シトリックスの仮想化ソリューションによって、 制御システムの実験設備をグローバルに、 かつセキュアに共用化する環境を実現しました
- 山本 好道 氏

デジタルモノづくり本部 エンジニアリングシステム部 主担

日産自動車株式会社

導入前の課題

  • パワートレイン制御の実験設備の 構築・維持には多大なコストがかか り、設備の稼働率を高めることが求 められていた
  • すべての研究開発拠点にパワー トレイン制御の実験設備を用意 して維持するのはコスト効率が悪 く、現実的ではなかった
  • 実験設備をグローバルで共用す るためにはセキュリティポリシー に準拠する必要があった

導入後の効果

  • グローバルで共用しながら拠点同 士で協業することが可能な実験設 備を構築
  • 狭帯域なネットワーク回線の海外 研究開発拠点からでも遅延なく利 用可能に
  • 実験設備にかかる維持費や人件費 などを抑制するという効果が得ら れた

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