Citrix Virtual Apps and Desktopsの リモートアクセスソリューションでテレワーク対応を早期に実現

自治体初となるドローン配送の実現やAI(人工知能)を活用したタクシー配車、移動診療車モ バイルクリニックの運用など、先進テクノロジーを積極的に活用する自治体として注目を集め る長野県伊那市。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けたテレワーク対応でも1カ月で ICT 環境を整備するなど迅速な展開を実現しています。そうした迅速な取り組みを支えたのが 「Citrix Virtual Apps and Desktops」のリモートアクセスソリューションです。

地域課題の解決に向けて 先端テクノロジーを先駆的に活用

長野県南部に位置し、南アルプスと中央アルプスに 抱かれた伊那盆地を中心に、天竜川や三峰川が流れ る扇状地と河岸段丘が広大なパノラマを形成する伊 那市。2006年に伊那市、高遠町、長谷村が合併し て発足した同市の面積は、松本市、長野市に次いで 県下3番目の広さを有します。

東京、名古屋のほぼ中間に位置していることから、商 工業にとって優良な立地条件であり、電気、機械など の高度な加工技術産業を中心に、ものづくり産業の 拠点として複数の工業団地が形成されています。ま た、肥沃な土地と豊かで良質な三峰川水系の水を生 かした「伊那米」のほか、信州そば発祥の地に由来す る「高遠そば」、野菜、果樹、花の生産(アルストロメリ ア)などの農業が盛んです。

ICT活用の面でも、自治体として日本初となるドロー ンを活用したデリバリーサービスの展開やAI(人工 知能)を活用したタクシーの自動配車サービス、デジ タル聴診器や通信端末を搭載し看護師を乗せた専 用車両が患者宅に訪問して、病院にいる医師が遠隔 で診療を行うモバイルクリニックなど、最先端の技術 を導入した社会課題の解決に積極的に取り組んでい ます。同市の特色について企画部 情報統計課 課長 の中山勇八氏は次のように語ります。

「当市では、『伊那に生きる、ここに暮らし続ける』を キャッチフレーズに、水、食、エネルギーを自給できる 循環型産業を育成しながら製造業、観光業、教育、芸 術、福祉を発展させていく行政を進めています。先端 テクノロジーによる行政サービスの変革にも力を入 れ、『伊那から日本を変えていく』という意気込みで 取り組んでいます。」

テクノロジー活用に対する同市の積極性は、新型コ ロナウイルス感染症(以下、コロナ)の感染拡大を機 にしたテレワークへの対応でも発揮されました。

2020年4月の緊急事態宣言の発出により、総務省 は全国の自治体に対してテレワークへの対応を要請 しました。その際、同市では約1カ月間という短期間 でテレワークのためのICT基盤を整えるとともに、制 度上の整備も進め、2020年8月にはテレワークの 本格運用を始動させました。そのスピーディな対応 に活用されたのがシトリックスの仮想デスクトップ 「Citrix Virtual Apps and Desktops」のリモート アクセスソリューションです。

テレワークの早期実現を目指し シトリックスのソリューションと BYOD を選択

伊那市では2008年から庁内で職員1人1台の割合 でシンクライアント端末を配布して業務を行ってきま した。2015年の自治体強靭化政策への対応ではマ イナンバー系・LGWAN系・インターネット系の三層分離を行いました。その後、クライアントの環 境をCitrix Virtual Apps and Desktopsをベー スにした仮想デスクトップ環境へと切り替えました。

今回、その仮想デストップ環境にリモートからアク セスする仕組みをシトリックスのソリューションを 使って実現した形です。

「シトリックスのリモートアクセスソリューションを 採用したのは、それがCitrix Virtual Apps and Desktopsをすでに導入していた当市にとって、最 も効率的に素早く職員のテレワークを可能にする 方法だったからです。自治体の業務は地域の人々 の暮らしに直結していますので、コロナ禍のような 有事の際にも業務継続(BCP)させることが大切で、 むしろ有事のときにこそ、職員の安全を確保しなが ら、自治体をしっかりと機能させなければなりませ ん。テレワークはそのための有効な手立てといえ、 できる限り早期に実施可能にすることが大切でし た」(中山氏)。

こうした考えの下、同市では一般業務系である LGWAN系のネットワークにインターネットを介し てセキュアにリモートアクセスする環境を整え、職 員各人の自宅で内部事務を違和感なく実施できる ようにしました。また、テレワークの環境整備に要 する時間とコストを適正化することを目的に、テレ ワーク端末には原則として職員個人が保有する PCを使うというBYOD方式を採用し、端末のロー カル環境では業務データの保存や印刷ができな い仕組みにしてあります。さらに、インターネット 系に対しても(LGWAN系を通じて)リモートから アクセスできるようにしていますが、マイナンバー 系については総務省のガイドラインに則り、リモー トからはアクセスできない仕組みになっています。

ゲートウェイと二要素認証で セキュリティを確保

同市がテレワークの環境整備に乗り出した当時、 長野県内には本格的なテレワークを実施している 市町村が存在せず、構築・運用のノウハウもなかっ たため、最初は手探りだったといいます。そのため、 総務省が展開している「テレワークマネージャー 相談事業」や情報システム構築運用担当者のアド バイスを受けながら、情報統計課と総務課とがプ ロジェクトを組み、仕様書の作成、情報セキュリ ティポリシーの改訂、テレワーク運用基準の策定、 テレワーク実施にかかる労務基準を整え、テレ ワーク利用者への心構えと運用説明の周知を行 いました。

「ポイントは、インターネットを介したリモートアク セスのセキュリティをいかに強固なものにするか でした」と情報統計課 課長補佐の宮島剛史氏は語 り、以下のように説明を続けます。

「リモートアクセスにおけるセキュリティ強度を高 めるうえでは、閉域の専用線を使うという選択肢 もありますが、それでは通信費が掛かりすぎます。

一方でインターネットから直接暗号化通信する (SSL/TLS-VPN)だけではセキュリティ面での不安 が残りました。そこで、シトリックスのリモートアク セスゲートウェイ、Citrix ADCを採用し、ゲート ウェイへのアクセスと仮想デスクトップのログイン で二段階認証を行うことにしました。また、それぞ れの認証ではワンタイムパスワードが必要な認証 を行い、さらに、リモートログインするユーザーは 管理側からの事前の許可が必要です。ユーザー にとってはシステムへのログインに多少の手間が 掛かりますが、インターネットを経由してテレワー クを実現するうえでは、このレベルのセキュリティ 対策が不可欠といえます」(宮島氏)。

ちなみに同市では現在、シトリックスのテレワーク ソリューションを50ライセンス運用しています。テ レワーク(在宅勤務)は週最大3日までとし、どのよ うに運用するかは部署ごとに判断しています。

「働き方改革という意味で定期的にテレワークを 行っている部署もありますし、感染拡大地域に出向 いた後に数日間は自主的に在宅勤務としている職 員や部署も存在します。また、以前は、研修会も出 張型がほとんどでしたが、その多くがオンライン開 催に移行されるなかで、研修を自宅からテレワーク で受講するという形式も増えています」(宮島氏)。

テレワークでも業務の効率性を確保する

中山氏によれば、シトリックスのリモートアクセス ソリューションについては、パフォーマンスの面で も問題は見られていないといいます。

「テレワークを実施した職員からは、システムのパ フォーマンスに関して特にクレームは上がってお らず、業務が通常どおりに実施できているようで す。システムの制約で普段の作業ができなければ、 テレワークの環境を利用する気持ちがなえてしま いますから、普通に作業できることが実は一番重要です。その重要な要件をシトリックスのソリュー ションは満たせているということです」(中山氏)。

また、シトリックスのリモートアクセスソリューショ ンの運用管理のしやすさも高く評価します。

「リモートアクセスの環境については、職員が使用 したい日をグループウェアに登録すると、情報統 計課に通知されるので、それを確認してBYODの 端末に対し端末証明書を発行した後、ライセンス を貸し出す仕組みで運用しています。そのスタイ ルにシステム運用側の負担はほとんどありません し、シトリックスのソフトウェアは運用管理に手間 をかけずとも安定した動作を続けてくれるので助 かっています」(宮島氏)。

さらに、セキュリティ強度の高いリモートアクセス 環境の実現によってBYOD 方式のテレワークが 安心して展開できていることは、結果として大きな コストメリットを生んでいると、中山氏はいいます。

「市側が端末を準備し、テレワークを行う職員に端 末を貸与する方式とした場合の端末レンタル料や 通信費は年額5 ~ 6万円/台ほど掛かると言わ れています。伊那市のように50ライセンスを準備 した場合、年額250 万円~ 300万円掛かる計算 になります。毎年これだけの経費が掛かるとする と長期的に見た場合、負担はかなり大きくなりま す。しかし、BYOD方式により、後年度のコストを 実質“ゼロ”にできたことは、中長期的なTCOの 低減効果としてかなり大きいとみています。」 この言葉からもわかるとおり、同市ではコロナ終 息後もリモートアクセス環境を積極的に活用し、 職員の働き方改革に生かしていく計画です。

「テレワークは、BCP 対策として有効なだけでは なく、自治体で働く職員にとっても、地域住民の 方々にとっても、より効率的で快適、かつ有効なも のへと変えられる可能性があります。ですので、 これからは今回構築したリモートアクセス環境を 自宅のみならず、屋外でも利用できるようにし、住 民相談や訪問介護など、現場に出向く機会の多い 職員の働き方改革にも役立てていきたいと考え ています」(中山氏)。

シトリックスのソリューションのおかげで安全が保証され経済性にも優れたテレワーク環境を短期間で構築でき、非常に助かっています。
中山 勇八 氏
企画部 情報統計課 課長
伊那市役所

業界

主な利点
  • Citrix Virtual Apps and DesktopsとBYODの導入で、テレワーク環境を素早く実現
  • Citrix ADCの採用で、ゲートウェイと二要素認証でセキュリティを確保
  • 低運用負荷かつ低コスト、業務効率性も確保

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