大容量画像データの高速かつセキュアな活用環境を実現。 将来的な医療検査システムのASP サービス実現にも期待

2004年7月、新横浜(神奈川県)にオープンした医療法人ゆうあい会ゆうあいクリニックは、画像診断に特化した検査専門のクリニックです。世界でも最大規模となる8台のPET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影)装置を設置し、がんの精密診断からステージング、治療効果確認、再発確認、予後フォローまで、さまざまな段階における検査を行っています。

質の高い診断結果を提供するために、放射線科医5名と内科医3名が常駐するほか、非常勤医師6名により年間360日の稼働を実現。緊急を要する検査においても迅速に対応できる体制を確立しています。PET 検査で疾病が発見された場合には、100を超える医療機関の中から最適な治療機関を紹介することはもちろん、治療を支援するためのさまざまな検査メニューも提供しています。

課題:大容量画像データを外部医師との間で活用する仕組みが必要

従来、画像診断はCTやMRIなどを使用して行うのが一般的でした。しかしながら、機器の高性能化やPETなどの新しい装置の登場により、これらの導入には高額の設備投資が必要となり、病院経営を圧迫する要因にもなってきました。このため、画像診断を専門で行う医療機関(画像診断センター)を設立し、近隣の病院が共同で利用することで検査効率を図るための取り組みが行われてきました。このような取り組みの1 つとして実現されたのが、ゆうあいクリニックです。

ゆうあいクリニックが実施しているPET 検査について、理事長の片山敦氏は次のように語ります。「PET を簡単に言えば、人間の身体を輪切りにして検査する機械です。CT やMRI のようにX 線を当てて身体の輪切りを撮影するのに対し、PET はブドウ糖の疑似薬剤であるFDG を身体に注入し、患部から放出されるガンマ線を読み取って画像を形成します。ブドウ糖がガン細胞に集積する特性を利用して、ガンの個所を発見し、症状を確認するのです」。

PET 検査は、米国ではすでに年間100 万件を超える一般的な検査方法です。日本では比較的新しい検査方法のため、検査を行う医師が不足しており、外部医師の協力が不可欠です。そこで、医師が院外から撮影した画像を読影診断できるセキュアな環境を実現することが必要でした。

ただし、院外からの画像データの取り扱いについては大きな問題があります。医療画像データの配信、画像の保存フォーマットは、DICOM (Digital Imaging and COmmunications inMedicine)という規格で統一されています。画像データ1 枚に通信情報、患者情報、検査情報などの管理データも含まれており非常に重いデータです。ゆうあいクリニックの顧問で情報システム担当の安藤一章氏は、次のように語ります。「1 人分の全身の検査データは、数百メガバイトに上ります。このデータをいかに効率的かつセキュアに院外から活用するかが大きな課題の1 つでした」。

ゆうあいクリニックでは、2004 年7 月のクリニック開設にあわせて、クライアント/サーバー(C/S)システムによる検査システムを構築しました。しかし、C/S システムでは、特にクリニックの外から大容量の画像データを取り扱うときのパフォーマンスやセキュリティの確保などに問題があります。また、ブラウザを介したストリーミング方式の画像配信システムも検討しましたが、使い勝手や機能面で劣り、要件を満たしていませんでした。

ソリューション:既存アプリケーションを有効活用し 高速かつセキュアな画像配信システムを構築

ゆうあいクリニックでは、2004 年10 月より画像配信システム「Flex View」の構築をスタートします。中核となるインフラにはCitrix Presentation Server を導入し、その上で検査用のアプリケーションを稼働させる仕組みを実現。2005年1月より本番稼働しています。

Citrix Presentation Server を採用した理由を安藤氏は、次のように語ります。「以前、IT コンサルティングの仕事をしていたときにCitrix Presentation Server を使ったシステム構築を経験したので、どのように使うと最も効果的かを理解していました。今回、大容量の画像データを高いセキュリティのもとで、クライアントにソフトウェアを導入することなく利用できることが必要であり、Citrix PresentationServer を使用するのが最適と判断しました」。

Flex View では、4 台のサーバー上でCitrix PresentationServer を稼働させ、その上で画像データの検査システムをはじめ、血液検査や問診票などの機能を統合した検診システムを使用しています。Citrix Secure Gateway およびCitrix Web Interface を活用し、院外からインターネット経由で画像データを参照することが可能になりました。Citrix Presentation Server のSpeedScreen イメージアクセラレーション機能により画像配信速度が向上されています。安藤氏は、次のように語ります。「インターネット経由で画像データを配信しているのですが、いつでも、どこからでも、安全に画像データを検査できます。このシステム構築では、既存アプリケーションを手直しすることなく実現することができました」。

ベネフィット:海外からも安全で高速に使える検査システム環境を実現

Citrix Presentation Server を導入した最大の効果について安藤氏は、次のように語ります。「C/S システムでは、クライアントとサーバー間でデータがやり取りされるため、データ容量が大きくなるとシステム全体に負荷がかかります。しかし、Citrix Presentation Server では、サーバー上で処理された結果だけが画面イメージとして送信されるのでシステムの負荷軽減と高速な処理が可能です。また、クライアント側に画像データが残らないことから、セキュリティ上の問題も解決できました」。

一方、片山氏は、次のように語ります。「院外から使用したときに、携帯電話で接続しても画像データを参照できるようになったのは非常に便利です。 C/S システムの時には院外から画像を参照することは非現実的でした。今では、海外の出張先からでも画像データを参照し、読影診断することができます」。

さらに、システムの運用管理について、総務部情報システム課の中原愛紀子氏は、次のように語ります。「非常に安定稼働しています。また、サーバーサイドでシステムが完結するという特性上、ユーザーサポートやトラブル時の切り分けが非常に効率的に行えます」。

今後のプラン:サテライト拠点の連携や規制緩和によるASPサービスの実現に期待

ゆうあいクリニックにおける、今後の展開について安藤氏は、次のように語ります。「アプリケーションの拡張という面では特に予定はありませんが、このクリニックを中心にして、サテライトの拠点を拡大していく計画です。サテライトの拠点をシステムで連携するために、Citrix Presentation Server をより一層活用していきたいと思っています」。

また、片山氏は次のように語ります。「今回、Citrix Presentation Server を使用した医療システムのモデルケースを実現できたと思っています。今後は、1 つのビルにさまざまなクリニックが入っているクリニックモールを実現し、電子カルテや検査システム、画像システムなどをASP モデルで一括管理し、サービスとして提供することを考えています。医療法などの問題で、すぐには実現できませんが、規制が緩和されたときに迅速に対応できる仕組みをCitrix Presentation Server で実現しておきたいと思っています」。

今回、Citrix Presentation Server を使用した医療システムのモデルケースを構築できたと思っています。今後の規制緩和で医療システムのASPサービスが実現可能な仕組みを実現しておきたいと思っています
- 片山敦氏

ゆうあいクリニック 理事長

医療法人社団 ゆうあい会 ゆうあいクリニック

ベネフィット

  • 大容量画像データの高速な処理
  • 高いセキュリティによる院外アクセス
  • 既存のアプリケーションの有効活用

導入アプリケーション

  • PET 検査システム
  • 一般医療検査システム

システム環境

  • Citrix Presentation Server(同時接続ライセンス数:20)
  • Citrix Secure Gateway
  • Citrix Web Interface