XenDesktopとXenServerにより3D CADアプリケーションの仮想 デスクトップシステムを構築し、海外拠点から高速データアクセスを実現

グローバル市場の占有率 8%と営業利益率 8%を目標に掲げた、2016 年度 までの中期経営計画「NISSAN POWER 88」を推進する日産自動車。同社の IT 戦略は、仏語で“速さ”を意味する「VITESSE」と呼ばれ、「Value Innovation」 「Technology Simplification」「Service Excellence」を戦略の柱として、 ビジネスやイノベーションへの貢献に取り組んでいます。その中でもクロスファン クション/クロスリージョンのソリューションによるビジネス価値の最大化を実現 する「Value Innovation」への挑戦として、グローバル情報システム本部では、 グローバル R&D 拠点の CAD/PDM 生産性向上を目標に、Citrix XenDesktop と Citrix XenServer、NVIDIA GRID K2 による 3D CAD アプリケーションの仮想 デ ス クト ッ プ シ ス テ ム を 構 築 し ま し た 。

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課 題: グローバル R&D 拠点の CAD/PDM 生産性向上への挑戦

今回エンジニアリング部門のデスクトップ仮想化 プロジェクト「eVDI」を指揮した、日産自動車のグ ローバル情報システム本部 エンジニアリングシステム部 主管 松木幹雄氏は、グローバル IT 戦略の 一環として、3D CAD アプリケーション利用基盤 としての仮想デスクトップ構築にチャレンジした 背景について話します。
「2011 年からスタートした当社の VITESSE とい う IT 戦略において、ビジネスに新しい価値を生み 出す目的の「Value Innovation」は、大きなテーマとなっていまし た。その1つとし てITによるグロー バル連携におい て CAD/PDM の データを一元化 し、すべての国か ら統合化された データベースにア クセスしても、業 務効率を落とさないシステム構築という課題への検討を重ねてい ました。そんな折に、当社の CIO である行徳か ら、VDI の仕組みを使って実現できないか、と い う テ ー マ を 与 え ら れ た の で す 」。

同じくグローバル情報システム本部 エンジニア リングシステム部の高畠聡士氏は、具体的な取 り組みについて説明します。 「当社は世界 16 カ所に車両開発や研究の拠点 があります。それらの拠点と連携をとりながら、 単一のデータベースで管理されている CAD/ PDM データを使い、リアルタイムでのデータ共 有や連携が求められていました。一方で単一の データベースでは、海外 R&D 拠点の CAD エン ジニアは出社後、データのダウンロードに数時 間もかかるケースもあり、グローバル拠点でのレ スポンス改善が大きな課題になっていました。 実は、仮想デスクトップの構築という話がある前 に、グローバル拠点の中でも特に重要な北米と英国で、CAD/PDM のデータベースを分散化 する方法を検討していました。日米英の 3 拠点 で CAD/PDM のデータベースをそれぞれ管理 して、相互に同期をとりながら連携することがで きないか調べたのです。しかしデータベースを 3 拠点に分散してしまうと、運用管理が 3 重に発 生し、結果として非常に高コストになるという大 きな問題がありました。さらに、拠点間のデータ 同期にも時間がかかるため、リアルタイムでの連 携には不向きだと諦めていました。そこに松木か らの話があり、2014 年から仮想デスクトップ に よ る 検 証 が ス タ ー ト し ま し た 」。

グローバル IT 本部 IT インフラサービス部の野 口博隆氏は、具体的な検討のプロセスについて 補足します。
「 仮 想 デ ス ク ト ッ プ の 選 定 に あ た り 、各 社 の 製 品 を 比較検証しました。その中で、機能や性能面での 優 位 性 だ け で な く 、使 い 勝 手 や 将 来 性 、ネ ッ ト ワ ークやハードウェア リソース利用量を 最小限に押さえ、 最大限の効果を発 揮できるソリュー ションを採用した く、XenDesktop を選択しました。 実際の検討にあ たっては、日本 ヒューレット・パッカードに全面的な協力を頂き、ラボへ検証環境を 構築し、エンドユーザーからのフィードバックをも らいながら検討を進めました」。

ソリューション: X e n D e s k t o p 、X e n S e r v e r を 採 用 し 、 3D CAD の仮想デスクトップ システムを構築 北米と英国から日本で一元化された CAD/PDM データにアクセス

XenDesktop、XenServer で 3D CAD ア プ リ ケーションの仮想デスクトップを構築し、グローバ ルでの一元的な CAD/PDM のデータ管理を推 進することになったグローバル情報システム本部 では、試験的なシステムを構築し、実際に北米と 英国の日産 R&D 拠点からの利用を試みました。

「トライアルでは、現地の CAD/PDM のエンジ ニアに実際に使ってもらい、WAN を介した仮 想デスクトップによる 3D CAD アプリケーショ ン操作におけるレスポンスや画面の解像度など に対するレビューをもらいました。このときは、 ローカルで利用していた高性能なワークステー ションと比べ、パフォーマンスが悪く実務では使 えない、という厳しい意見をもらいました」と松 木氏は最初のトライアルの結果を振り返ります。 現地エンジニアの評価結果を受けて、IT インフ ラサービス部では、システムとネットワークの両面からチューニングを実施し、パフォーマンスの 最適化に取り組むことになりました。そして、シ ステム面の改善だけではなく、実際のユーザーに よる操作性評価が重要であると判断した松木氏 は、プロジェクトメンバーに株式会社日産テクノ CAD 技術推進室のトップクラスの CAD エンジ ニアである岩間健二氏を投入しました。

「私に与えられたミッションは、実用的な性能を 得るためにCADエンジニアの視点で行うチュー ニング結果の評価でした。それに加えて、松木と 一緒に、どのようなシナリオを用意すれば海外 エンジニアの使い方に合ったデスクトップ仮想 化の正しい評価ができるのかを検討しました」。

2014年4月より、ITインフラサービス部では 野 口 氏 が 中 心 と な っ て 、シ ト リ ッ ク ス 、日 本 ヒ ュ ー レット・パッカードなどのエンジニアによる協力体 制のもと、仮想デスクトップを介して、北米と英国から日本で一元化さ れたデータにアク セスするための本 格的なシステム構 築がスタートしま した。

IT インフラサービ ス部による技術的 な取り組みと並行 して、岩間氏は北米と英国の CAD エンジニアにデスクトップ仮想化の メリットを実感し てもらうために、 実際に3Dデー タを作成するエン ジニア向け、主に ビューワーソフト を使用するエンジ ニア向けなど、すべてのCADエンジニアを網羅する13通りの 利用シーンを想定したシナリオを作成し、現地エ ンジニアと検証を重ねました。

「今日では自動車の開発業務は非常に細分化さ れています。ユーザーの仕事を分類し、各業務に どのようなメリットがあるのかをシナリオを通 して実感してもらうことで、現地から正しい評価 を得る努力をしました。実際に北米と英国を訪 れ、3D CAD を実環境下の仮想デスクトップで 操作することにより、現地エンジニアの要望に 沿ったベストチューニングを構築することがで き ま し た 」と 岩 間 氏 は 説 明 し ま す 。

IT インフラのチューニングとエンジニアの利用 シナリオという両面から、海外のエンジニアが納 得する仮想デスクトップの利用環境を整えたこ とにより、2014 年 7 月のトライアル開始から 1 年後にあたる 2015 年 7 月より北米、10 月より英国での運用が開始されました。

「北米と英国という二つの主要なグローバル拠点から、 日本で一元化されたデータにアクセス するというチャレンジングなプロジェクトを推 進できたのは、シトリックスをはじめとしたベン ダー各社のエンジニアの方々が、一つのチーム となって協力し合えたからです」と松木氏はプロ ジ ェ クト を 評 価 し ま す。

チーム一丸となって日産自動車のグローバル情 報システム本部に構築した 3D CAD のための仮 想デスクトップシステムは、サーバーに NVIDIA GRID K2 ボードを搭載し、XenServer 上に構 築した XenDesktop による仮想デスクトップか ら、シーメンス PLM ソフトウェアの 3D CAD/ CAM/CAE 統合ソリューション「NX」に、北米と 英国からアクセスする方式です。

eVDI システム概要図

eVDI システム概要図

導入効果: CAD/PDM データを日本で 一元的に管理 海外拠点の CAD エンジニアも 仮想デスクトップの効果を実感

「 ハ ー ド ウ ェ ア リ ソ ース や ネ ット ワ ー ク 利 用 帯 域 な どに配慮しながら、XenDesktop、XenServer、 NVIDIA GRID K2による仮想デスクトップ 環境を構築することで、グローバルでの CAD/PDM の統合的な利用環境を実現しました。 CAD/PDM データを日本で一元的に管理でき るようになったので、今後他の拠点に展開するス ピードも速まると思います」と松木氏は構築さ れたシステムを評価します。

高畠氏は次のように評価します。 「XenDesktop により、CAD/PDM のデータ ベースを日本で一元的に管理できるようになっ たことで、運用コストを低減しただけではなく、 セキュリティ面も一層強化できました。また、今 後はサーバー側のシステムを増強していくこと で、クライアント側のワークステーションへの投 資も抑制できるので、長期的にもコストパフォー マンスの高い CAD/PDM のインフラが構築で きたと思います」。

さらに松木氏は、仮想デスクトップの副次的な 効果について語ります。「3D CAD アプリケー ションの利用を目的に導入した仮想デスクトッ プですが、多くの副次的メリットを見出していま す。例えば、場所を変えても仮想デスクトップに 再接続すれば直前の状態から仕事ができること です。グローバルレベルで機会損失がなくなる わけで、翌日、海外出張した先で仕事がすぐリス タートできる、まさにモバイルワークスペースが 実現できます。また万が一、突然 PC がシャット ダウンされてしまっても、仮想デスクトップ上の CAD/PDM は影響を受けることはありません。 セキュアなデータセンターに構築されたサー バーの稼働率を考えればサービスレベルも向上 さ せ る こ と が で き ま す 」。

今後のプラン: R&D グローバルフォーメーション シフトにおいて仮想デスクトップを 活用

「今回の北米と英国での採用は、いわばスター トラインです。我々は海外に 16 の拠点を持って いるので、残る拠点での設計や研究開発の現場 にも、このシステムを導入する計画です」と高 畠氏は今後に向けた取り組みについて触れます。

「システムを運用していく立場からは、Linux の仮想デスクトップでもネットワーク帯域やハー ドウェアリソースの利用量を最小限に押さえて いきたいので、XenDesktop に関しては HDX 3D Pro の Linux への対応を期待しています。 また、今後 CAD/PDM を利用するユーザーが 増えていくので、引き続き XenDesktop は、ネッ トワークやハードウェアリソースの使用を最小 限に押さえつつ最大限の性能を発揮し続ける製 品であってほしいです」と野口氏は期待を述べ ます。

松木氏は次のように抱負を語っています。 「すでに他のアプリケーションでも仮想デスク トップで動かしているものがあります。今回 3D CADで実現できたことから、仮想デス クトップが使える業務領域が広がりましたし、 XenDesktop はそういう可能性のある製品だ と思っています。拠点に導入されていけば、全 体的に仕事のやり方が変わるだろうと期待して います。我々としても、実用性の高いデスクトッ プ仮想化のインフラを構築できたので、ここか ら新しいビジネスのバリューを生み出していく 挑戦を続けていきます」。

Citrixについて

Citrix (NASDAQ:CTXS) は、仮想化、モビリティ管理、ネットワーキングおよびSaaSソリューションの融合を通じて、ビジネスや人々に新しい方法でよりよい働き方を実現する Software-Defined Workplace への変革を牽引しています。Citrixのソリューションは、セキュアなモバイルワークスペースによりビジネスのモバイル化を推進します。モバイルワーク スペースでは、デバイス、ユーザー、利用するネットワークやクラウドを問わず、アプリケーション、デスクトップ、データ、コミュニケーションに瞬時にアク セスすることができます。シトリックスの2014年度の年間売上高は31.4億ドルで、その製品は世界中の40万以上の企業や組織において1億人以上の人々に利用されています。シトリックスの詳細についてはwww.citrix.co.jpをご覧ください。

Citrix, XenApp, XenDesktop, NetScaler, Provisioning Services およびここで使われているその他のCitrixの名称または製品名は、Citrix Systems, Inc.の米国あるいはその他の国における登録商標または商標です。その他の社名、商品名はぞれぞれの所有者の登録商標または商標です。

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IT による価値創造(Value Innovation)の取り組みとして、 3D CADアプリケーションの仮想デスクトップシステムを 構築し、北米と英国から日本にある一元化された CAD/PDM データに高速にアクセスできる インフラを構築しました
- 松木 幹雄 氏

グローバル情報システム本部 エンジニアリングシステム部 主管

日産自動車株式会社

導入前の課題

  • グローバル拠点間での CAD/PDM のデータ連携
  • グローバル規模での設計 CAD/ PDM 業務の効率化、改善
  • IS/IT部門としてのITによる価値 創造

導入後の効果

  • デスクトップ仮想化により海外拠点の CAD/PDM データを日本で一元的に管理
  • XenDesktop、XenServer、NVIDIA GRID K2 により、海外拠点の CAD エン ジニアが必要とするパフォーマンスを実現
  • モバイルワークスペースでのCADデータ の閲覧・承認業務など新たなビジネスバリューの創造

導入製品・サービス