Citrix XenAppによりシンクライアント端末とPCの混在環境を統合し、運用管理コストを低減。 セキュアで高パフォーマンスな医療システムを構築。今後の医療機関連携にも期待

「やさしさとぬくもりのある質の高い医療を患者さんへ」を理念に、医療を通じて地域社会に貢献することを目指す社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院(以下、済生会熊本病院)は、救急医療、高度医療、地域医療と予防医学、医療人の育成の4 つを基本方針とし、「専門性に基づく高度な医療の提供」を目的としたセンター制により、患者さんにとって最適な医療の提供を目指しています。済生会熊本病院の最大の特長は、医療を標準化することで、患者さんに分かりやすい医療情報を提供したり、入院から退院までに行われる検査や治療といった情報をスケジュール化したりする「クリニカルパス」と呼ばれる活動を1996 年より導入していること。この活動により、これまでの医師中心の医療とは異なる、それぞれの分野の専門性を生かした効果的な医療を実現しています。この活動をより効率的に推進するにはIT システムの活用が不可欠ですが、従来の医療用パッケージシステムでは、セキュアで高パフォーマンスな利用環境のもとにこうした活動をサポートしているものがありませんでした。そこで済生会熊本病院では、サン・マイクロシステムズのSun Ray ウルトラ・シンクライアント(以下、Sun Ray)によるシンクライアントシステムを構築。シンクライアントシステムの中核となるアプリケーション配信の仕組みにCitrix XenApp を採用しました。

課題:Sun Rayを導入したが、画像アプリのパフォーマンスやサーバー、端末管理の煩雑化が課題に

済生会熊本病院では2007年に、400台以上のシンクライアント端末で構成されるSun Ray を導入しています。Sun Ray を導入した理由は、業務を効率化しながら強固なセキュリティも実現できるからです。たとえばPC を使用する従来型のシステムでは、ログイン/ログアウトに時間がかかるため、利用者がPC を立ち上げたまま席を離れてしまうというセキュリティ上の課題がありました。しかしSun Ray であれば、IC カードを抜けば画面が消え、差し込めば元の状態に戻るので、業務効率を低下させずにセキュリティを強化できるという利点があります。

しかしこのSun Ray でWindows アプリケーションを使用するためには、Sun Ray Server のほかにWindows Terminal Server(WTS)を導入し、その上でアプリケーションを動作させることが必要です。しかし済生会熊本病院では、70 種類以上の医療アプリケーションを運用しており、WTS では柔軟なアクセス権限の設定ができない、また、Sun Ray からWTS にはRDP(Remote Desktop Protocol)で接続するため、特に画像系のアプリケーションのパフォーマンスが悪いという課題を抱えていました。また、今後増加するWTS サーバーやSun Ray Server、クライアント端末をいかに効率的に運用管理するかも大きな課題のひとつでした。医療情報システム室 室長、松下龍之介氏は、次のように語ります。「現在、病院内で利用されている業務アプリケーションは、700台以上のPC やSun Ray からアクセスされています。そのため設置場所や利用者ごとに使うアプリケーションやプリンタ、アクセス権限などを設定しなければならず、運用管理が非常に煩雑でした」。セキュリティに関しても、Sun Ray 配下のアプリケーションに関しては一定のルールを確立していますが、たとえば大学などから派遣されてきたドクターが誤ってデータを自分のPC で持ち出してしまう危険性も残っていました。このような複雑な組織体制において、いかにIT 統制を実現していくかも重要な課題でした。これらの問題を解決できる仕組みとして済生会熊本病院が導入を決めたのが、XenApp です。XenApp の導入により、Sun Ray およびPC のどちらにも、セキュアにアプリケーションを配信する仕組みを確立しました。

ソリューション:業務系から事務系まであらゆるアプリケーションをXenApp 上で活用

済生会熊本病院が導入したXenApp は、15台の公開アプリケーション用サーバーと5台の公開デスクトップ用サーバーで構成されています。公開デスクトップ用サーバーとSun Ray Server はRDP(Remote Desktop Protocol)で接続されており、約400台のSun Ray 端末からアクセスされます。また、ワイズテクノロジーのシンクライアント端末10台がICA で接続されています。これらの端末からは、健診システムをはじめ、電子カルテや透析システム、薬剤部門システム、給食システムなどの業務系システムから、ERP システム、オフィススイート、看護師用の勤務表などの事務系システムまで、病院業務に必要なほとんどのアプリケーションが利用できるようになっています。
また、関連施設である済生会みすみ病院に設置された40台のSun Ray 端末と3台のWyse 端末からも、インターネットを経由してXenApp 上の事務系アプリケーションが利用できる構成になっています。済生会熊本病院では2008年9月より、まずは健診システムでXenApp の導入を開始。2009年4月より本格稼働しています。健診システムについて松下氏は、次のように語ります。「現在、1日に150人以上が人間ドックをはじめとする健診を利用しています。これは、おそらく日本でトップ5に入る健診数の多さであり、非常に細かい情報を取得しなければなりません。しかし、XenApp 上で問題なく処理できます」。

同院ではまた、2008年4月より病院全体でフイルムレスのシステムを導入しています。これはレントゲンなどの検査でフイルムを使うことなく、画面上で画像を確認する仕組みです。画像の確認だけであればSun Ray 端末でも対応可能ですが、より詳細な画像が必要な診断の場合には、高解像度のディスプレイを搭載したWyse 端末を利用するなどの工夫もなされています。さらに当初は動画を扱わない予定でしたが、e-ラーニングを提供するために動画を利用する必要が生じました。この動画に関しても、XenApp により問題なく配信することが可能となりました。

ベネフィット:高い利便性とパフォーマンス、サーバーのメンテナンス性も向上

XenApp を導入したことで、済生会熊本病院が抱えていた課題はすべて解決されています。たとえば、XenApp はサーバー側でアプリケーションを仮想化しクライアントに配信するため、クライアントOS のバージョンや相性にとらわれることなく、アプリケーションを利用することが可能になりました。また公開デスクトップにより配信する画面をサーバー側でコントロールできるので、クライアント管理の煩雑さも解消されています。

XenApp の導入効果について、松下氏は次のように語ります。「今後も利用者が増えていくので、パフォーマンスを低下させないスケーラビリティも重要でした。XenApp はサーバー側でアプリケーションを動かしているので、パフォーマンスも高速で、仮想サーバーにも対応できる拡張性に優れています。また、病院内では古いPC も数多く利用されていますが、Office 2002、2003しか使えなかったPC で最新のOffice 2007が使えるなど多くのメリットがあります」。さらに医療情報システム室、遠藤泰史氏もXenApp の使い勝手について次のように語ります。「利用者からのクレームはほとんどありません。ログイン時にアプリケーションとのセッションを確立するまでに少し時間がかかりますが、つながってしまえばストレスなく利用できます。操作性についてはIT に詳しくない職員でもまったく問題ありません」。

一方、XenApp を導入したことで、サーバー側の運用管理も効率的になっています。遠藤氏は、次のように語ります。「病院のシステムの特徴として24時間止めることができないため、XenApp 導入前は、影響の少ない夜間にアプリケーションサーバーへのパッチ適用等を行わなければなりませんでした。XenApp 導入後は、業務中でもこのような作業を行えるため、業務効率が大幅に向上しています」。

今後のプラン:医師不足の解消や医療現場の連携にも大きな期待

今後のプランについて松下氏は、次のように語ります。「XenApp を導入したことで、今後に向けて大きな可能性が広がりました。  たとえば、これまではパフォーマンスやセキュリティの問題などで、専用線でしか実現できなかった医療機関の連携を、インターネットとXenApp により低コストで実現できます。  これにより、外部の専門医にデータを見てもらったり、産休中のドクターに自宅で画像の診断をしてもらったりという取り組みが実現できます」。 また今後は、たとえば外部の専門医に患者データを見てもらう際に特定のデータ以外の閲覧を防止するために、ユーザーの操作画面を録画するXenApp のSmartAuditor 機能を利用することも検討している。松下氏はさらに、「XenApp を活用することで、多額の投資が必要なため独自にIT システムを導入することができない小規模な病院向けに、医療システムをサービスとして提供するデータセンターを構築し、利用してもらうこともできるでしょう。こうした取り組みが、医師不足の問題も解決できるかもしれません」と今後の期待を語っています。

Citrix Solution
について

Citrix XenApp はWindows アプリケーションデリバリーのデファクトスタンダードです。アプリケーションの仮想化とアプリケーションストリーミングの 2 種類のデリバリーで、あらゆるユーザー、あらゆるデバイス、どのようなネットワーク環境からでも最適なアクセス体験を提供します。

XenApp を導入したことで、今後に向けて大きな可能性が広がりました。これまではパフォーマンスやセキュリティ上の問題などで実現できなかった医療機関の連携を、XenApp により低コストで実現できます
- 松下 龍之介 氏

医療情報システム室 室長

社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院

ベネフィット

  • クライアントOSに依存しないアプリケーション配信
  • クライアント/サーバ管理の効率化
  • 容易な操作性と高いパフォーマンス
  • セキュリティ強化とIT統制の実現

導入アプリケーション

  • 医療アプリケーション全般 (約70 種類)
  • ERPシステム
  • オフィススイート

ネットワーク環境

  • Citrix XenApp・5.0 Platinum Edition
  • (同時接続ライセンス数:640) Sun Ray ウルトラ・シンクライアント
  • Wyse シンクライアント