国内最大規模、11万1000ユーザーが利用する仮想デスクトップ環境を更新 コスト削減と働き方改革を促進

人々が安全で豊かに暮らせる未来の実現に向けて、ITと制御・運用技術を活用し、高度な社会インフラシステムを提供する「社会イノベーション事業」をグローバルに展開する日立製作所(以下、日立)。同社は2007年にセキュリティ強化とワークスタイル変革を目指し、Citrix XenAppを導入。国内最大規模の仮想デスクトップ環境を構築し、セキュリティの向上を実現しました。そして2017年にはユーザー集約によるコストの削減、クラウドサービスやモバイルデバイスへの対応などを目的に、両ソリューションを最新版に更新。TCOを削減するとともに、より柔軟な働き方が可能な環境を実現しています。

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課題: 仮想デスクトップ環境におけるユーザー数の増加とハードウェアの老朽化が課題に

2016年に策定された中期経営計画のもと、「電力・エネルギー」「産業・流通・水」「アーバン」「金融・公共・ヘルスケア」の4つを注力事業分野に掲げ、「IoT時代のイノベーションパートナー」たることを目指して日々ビジネスに邁進する日立。同社の業務はユーザー数11万1000という国内最大規模の仮想デスクトップ環境によって支えられていますが、その導入の検討が始まったのは2004年のことでした。

当時、PCの置き忘れや盗難による情報漏えいが社会的な問題になっていましたが、これに危機感を抱いた同社では、「情報を持たなければ漏洩しない」というコンセプトのもと、シンクライアントを活用した「セキュアクライアントソリューション」の構築を決定。さらにはこれによって実現した仮想デスクトップ環境を活用し、フリーアドレス制やモバイルワークの導入など、ワークスタイルの変革も進めていくことになりました。

シンクライアントのタイプについては、まずPCを物理的にデータセンターへ集約するブレードPC方式を採用。続いて2007年にはCitrix XenAppを用いたターミナルサービス方式、2011年にはCitrix XenDesktopを用いた仮想PC方式を導入しています。この点についてITビジネスサービス本部統合ITプラットフォーム本部パーソナルデバイスサービス部部長の高橋幸喜氏は、「ブレード方式は既に廃止されており、現在はターミナルサービス方式と仮想PC方式に集約しています。各ユーザには利用目的に適した方式のものを選んでもらっていますが、既にTS方式で73,000人、仮想PC方式で38,000人、合計で11万1,000名のユーザがおり、さらに毎月300~400名規模で増え続けています」と説明します。

こうして実現したデスクトップの仮想化ですが、セキュリティ強化やワークスタイル変革の面で同社にさまざまなメリットをもたらしました。しかし時がたつにつれ、ユーザー数が増加したことで収容が追いつかなくなり、さらにはサーバー等のハードウェアが老朽化するなどの問題が浮上してきました。

ソリューション: 10年以上にわたる運用実績を評価しシステムをXenAppとXenDesktopの最新版で更新

そこで日立はシステムの更新を決定。その際の要件は以下の通りでした。

  • 仮想デスクトップ環境におけるコスト削減
  • Office 365など、アプリケーションのクラウド化への対処
  • 働き方改革を支援するため、モバイルデバイスへの対応

更新にあたり、他社製品も検討したといいますが、これまで10年以上にわたり安定して使ってきた運用実績を評価し、XenAppとXenDesktopの最新版を採用することにしました。産業・流通フィールドサービス事業グループ 日立グループ情報サービス事業部ITシステム運用本部 サービス運用部担当部長の近内誠氏は、「要件を満たしていることはもちろんですが、長年の実績があってこれまでの経験やノウハウを活かせること、低帯域のネットワークでも満足なレスポンスが得られるICAプロトコル等、技術力も高いことなどを評価しました」と語ります。

導入効果: ユーザー集約の促進とハードウェアの最適化によりTCO削減を実現

最新版のXenAppは2017年9月から稼働を開始し、現在1万3000ユーザーが利用しています。一方、XenDesktopも構築が終了し、今後徐々に利用を開始する予定です。 なお更新にあたって日立では、サーバーにおけるユーザー集約を進めています。サービスプラットフォーム事業本部IoT・クラウドサービス事業部グループクラウドサービスセンタ ユビキタスサービスグループ主任技師の後藤弘美氏は、そのねらいを以下のように説明します。

「当初、サーバー1台あたり45ユーザーだったXenApp環境を、200ユーザーまで拡大しました。また、XenDesktop環境に関しては、サーバー1台あたり150ユーザーまで増やしています。加えて、1ユーザーあたりのストレージ容量も削減し、ハードウェアを最適化することで、TCOの削減を目指しました。具体的な数字でいえば、従来比で約10%、月に約300万円の削減を見込んでいます」
また、新たなシステムはアプリケーションのクラウド化にも対応しています。 「現時点では17のクラウドサービスを利用しています。中でもOffice 365はすでに3万ユーザーが使っており、将来的には12万ユーザーまで拡張することを計画中です」(後藤氏)
さらに新システムはiPhone/iPad、Surfaceなど、スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイスにも対応しています。ITビジネスサービス本部統合ITプラットフォーム本部 パーソナルデバイスサービス部主任技師の真島隆男氏は「さまざまなモバイルデバイスが活用できるため、社外での作業や在宅ワークがより容易になった上、業務の効率も上がりました」とその効果を述べています。

今後のプラン: 基盤のクラウド化やCitrix Cloudの利用を検討 海外への展開も視野に

今後について日立では、利用するクラウドサービスの増加に合わせて、仮想デスクトップ環境の最適化を図っていく方針です。さらには、XenAppやXenDesktop自体のクラウド化も見据え、クラウド基盤への移行やSaaS型のCitrix Cloudの利用も検討しているとのことです。

「オンプレミス環境ではアプリケーションのセキュリティパッチ適用などの面でかなりの負荷がかかっているのですが、クラウド化によりこうした負荷も軽減できると考えています。また、海外拠点から上がってくるデスクトップ仮想化環境を使いたいというリクエストについて、現状ではネットワーク遅延の課題があって難しいのですが、クラウド基盤を活用することで将来的に解決できるのではないかと考えています」(高橋氏)

クラウドサービスの増加に合わせて仮想デスクトップ環境の最適化を図りつつ、システム自体のクラウド化や海外への展開も検討したい
- 高橋幸喜氏

パーソナルデバイスサービス部部長

株式会社日立製作所

導入前の課題

  • 仮想デスクトップ環境にまつわるコスト削減
  • アプリケーションのクラウド化への対処
  • 働き方改革のよりいっそうの促進

導入後の効果

  • ユーザー集約の促進とハードウェアの最適化でTCOを削減
  • Office 365などのクラウドサービスに対応、仮想化システムのクラウド化も検討
  • モバイルデバイスに対応することで、多種多様な働き方が可能に

導入アプリケーション

  • 基幹業務システム
  • オフィススイート製品
  • 座席ナビ
  • 電子メール
  • インターネット環境
  • 開発ツール(Cosminexusなど)※
  • 開発用Webサーバー※

※:仮想PC、ブレードPC方式にて利用