富士市の教職員向け仮想デスクトップ環境をXenDesktopで構築教職員の事務作業を効率化し、児童生徒と向き合う時間を最大限確保

「富士山のふもと しあわせを実感できるまち ふじ」をまちづくリの基本理念とする富士市。世界に誇る富士山の豊かな緑と湧水の恵みという恵まれた自然環境と、静岡県東部の中核都市であり、交通の要衝という地理的条件を生かし、目覚ましい発展を遂げています。また富士市では、教育にも注力しており、『学び合い学び続ける 「ふじの人」づくり』を目指し、一人ひとりの市民が生涯学べる環境を整え、子どもから大人まで、ともにかかわり合いながら、豊かな学校教育および社会教育の充実を推進しています。その一貫として富士市教育委員会では、小学校27 校、中学校16校の教職員向けデスクトップ仮想化環境を、Citrix®XenDesktop® およびCitrix XenServer® で構築。教職員の事務作業を効率化するとともに、教職員が児童生徒たちと向き合う時間を最大限確保できるよう努めています。

課題:安心、安全な1 人1 台のコンピュータ環境の実現

富士市の小中学校の教職員は、それまで学校に設置された共用のPC を使って必要な業務を行っていました。しかし教職員が扱うデータは、児童生徒たちの個人情報や成績などが含まれているために、その取り扱いには十分過ぎる注意が必要でした。富士市役所 総務部 情報政策課 システム開発担当 主幹の深澤 安伸氏は、「基本的に学校で使用するものは市が提供していますが、教職員が使用するPCに関しては1 人に1 台を提供できていませんでした。しかし、テスト結果の集計や通信簿の作成などにPCは不可欠です。教職員にも1 人1 台のPC が必要であるということは、富士市教育委員会でもずっと言われ続けてきた課題のひとつでした」と話します。静岡県内では、富士市以外のほかの小中学校でも教職員へのPCの配布が進んできていることから、富士市でも教職員へのPC の配布を決定。当初は、システム構築にはコストをかけず、量販店でノートPC を購入して教職員に配布することを検討していました。しかしノートPCを教職員に配布するだけでは、セキュリティ上のリスクという現状の課題を解決することができません。深澤氏は、次のように語ります。「富士市教育委員会でも、ノートPCを配るだけで、データのセキュリティを守りながら使い続けることができるのかという問題が提起されました。そこでコストの問題だけではなく、安心、安全に使える仕組みが必要であるという結論に至り、情報政策課に協力してほしいとの依頼がありました。情報政策課で支援するのであれば、運用・管理作業を最小化できる仕組みも実現したいと考えました」。そこで採用されたのが、XenDesktopによる仮想デスクトップ環境の構築でした。このとき、ノートPC を配布するのではなくノート型のシンクライアント端末を配布することも決定します。深澤氏は、「富士市役所には、Citrix XenApp™とプロビジョニングサービスを10年以上利用している経験とノウハウがあります。また次に主流となるのは、XenDesktop によるデスクトップ仮想化だと考えていました」とXenDesktopの採用を決めた理由を話しています。

ソリューション:1,200 台のシンクライアント端末を教職員に配布

富士市教育委員会では、2011 年6 月よりXenDesktop を利用した仮想デスクトップ環境の構築をスタート。8月より43校へのサービス提供を順次開始しています。今回、富士市教育委員会が構築したシステムは、Windows 7 のデスクトップOSイメージを、XenDesktop の1機能であるプロビジョニングサービスを利用して一元管理し、仮想PC上にオンデマンドに一斉展開する仕組みです。また仮想PCを構築するサーバーには、ハイパーバイザーとしてXenServerを採用しました。教職員は、配布されたノート型シンクライアント端末を使用して、Microsoft Officeや一太郎、出欠席や成績の管理、教職員向け業務の機能が統合されたデジタル職員室といったアプリケーションを利用しています。シンクライアント端末では、USBメモリなどにデータをコピーすることはできない仕組みになっており、必要な場合は職員室に設置された専用PCから、ほかのPCで作成したデータを取り込んだり、取り出したりすることを可能にしています。深澤氏は、「43校に1,200台のシンクライアント端末を展開しなければならないので、シンクライアント端末の配布にあわせて研修会を実施しています。研修会では、主なアプリケーションの使い方やログイン/ログアウトの方法、これまで使っていたPCとの相違点を説明しています。また、これまではネットワーク上の共有ファイルという概念がなかったので、作成したコンテンツを、学校ごと、個人ごとに、どのように保存すればよいかも説明しています」と話します。

また深澤氏は、「今回、システムの導入前に、小規模なテスト環境を構築し、その経験を生かして本番システムを構築したため、XenDesktop やXenServerに起因する問題は発生しませんでした。ただ注意したのは、仮想デスクトップのパフォーマンスを確保するためのサイジングです。現状では、1台の物理サーバーあたり50台弱の仮想デスクトップ環境が稼働していますが、限られたサーバーリソースでいかに高いパフォーマンスを実現するかを工夫しました」と話しています。

導入効果: 作業の効率化で子どもに目を向ける時間を拡大

XenDesktopの導入により期待される効果について深澤氏は、「これまでは、学校ごとにそれぞれ、資料や教材等を作成していました。XenDesktopの導入により、データを一元管理できる仕組みを構築したことで、今後は各小中学校が作成した資料や教材を共有していくことが可能になります」と話します。たとえば、ある学校の教職員が授業に役立つ教材を作成した場合、その教材を共有することで、ほかの教職員は同様の教材を作成する時間を削減できます。同じ教材をそれぞれの教職員が作るのではなく、各教職員が作ったものを必要に応じて共有、活用することで、業務を効率化できます。また業務を効率化することで、より質の高い教育を実現できます。深澤氏は、「教職員の業務が軽減されることも重要ですが、より多くの時間、子どもたちと接することが教職員の本業です。本来やるべきことに専念できる環境を作ってあげたい、子どもに目を向ける時間を増やしてあげたいというのが、XenDesktopを採用した最大の目的でした」と話しています。「ただ、基本的には業務は学校内で行い、家には持ち帰らないことが理想です。もちろん仮想デスクトップの導入により、自宅でも安全に作業を継続できる環境を提供できますが、あくまで学校内で時間内に利用することを前提にしています」と深澤氏は話します。そのほか深澤氏は、「毎年4 月に教職員の人事異動があるのですが、違う学校に移動したときに自分のIDとパスワードでログインすれば、メールやファイル、アプリケーションも、必要なものはすべてそのまま使えるので、そのときにメリットを感じてもらえると思います」と話します。一方、システム管理面でのメリットを深澤氏は、「プロビジョニングサービスの機能を活用するなどで運用管理負荷を最小限にしているため、まったくと言っていいほど運用管理は負担になりません。また、サーバー環境の仮想化により、省スペース、省電力を実現できたことが、XenServerを導入した大きな効果でした」と話しています。

今後のプラン:モデル校の評価により学校ごとのカスタマイズ指針を作成

今後、富士市教育委員会では、仮想デスクトップ環境を活用している43校から、モデルとなる学校を数校選び、2011年度中に基本的な機能の評価を実施する計画です。その結果に基づき、2012年度より学校ごとにどのようなカスタマイズを行っていくべきかという指針を作成し、さらに機能拡張していく予定です。深澤氏は、XenDesktopおよびXenServerに対する今後の期待について、次のように語ります。「運用管理の面からは、すべての学校が同じ仕組みになるのが効率的です。しかし、学校によって通信簿の作り方や児童生徒の評価の仕方が違うので、完全に標準化することは困難です。一度、仮想デスクトップ環境を利用して通信簿を作ることで、仮想デスクトップ導入前よりどれだけ業務を削減できたか、どれだけカスタマイズが必要かなど、ある程度の評価ができるので、今後のカスタマイズにおいてもシトリックスの支援に期待しています」。

教職員の業務が軽減されることも重要ですが、より多くの時間、子どもたちと接することが教職員の本業です。本来やるべきことに専念できる環境を作ってあげたい、子どもに目を向ける時間を増やしてあげたいというのが、XenDesktopを採用した最大の目的です
- 深澤 安伸 氏

富士市役所 総務部 情報政策課 システム開発担当 主幹

課題

  • 構築から5年を経てシステムが老朽化
  • 分散した起動イメージの管理が煩雑

ソリューション

  • プロビジョニングサービスによるネットブート型仮想デスクトップ環境の実現

ベネフィット

  • 省エネおよび旧システムと同等以上の性能を両立
  • 起動イメージの効率的な管理による運用管理コスト削減

導入アプリケーション

  • オフィス製品
  • 数式処理システム
  • 統計解析ソフト
  • 動画ソフト など

ネットワーク環境