中国オフショア開発環境の刷新にシトリックスのクライアント仮想化ソリューションを採用。インターナルクラウド上で、クライアント環境の全体最適化とインフラ標準化を目指す

グローバルなネットワークを活用し、高品質なリサーチ・コンサルティングとシステムで、時代のニーズを先取りした情報サービスと最適なソリューショ ンを提供する大和総研。国内外の経済分析や政策分析、資本市場動向などを調査する「リサーチ」、顧客と課題を共有し、価値向上に結びつくサポートを行う 「コンサルティング」、大和証券グループにおけるシステム機能の先導役として、高品質で安定的なシステムを提供する「システム」の3つの事業を展開してい ます。現在、パートナー企業2社との協業による「アライアンスクラウド」を強力に推進。仮想化技術を有効活用し、「Any Server」「Any Storage」というコンセプトに基づいて、クラウド環境の標準化に取り組んでいます。その一環として、中国で展開しているオフショア開発のためのIT インフラをクラウド環境で刷新。Citrix® XenDesktop®によるデスクトップ仮想化と、Citrix XenApp™によるアプリケーション仮想化を組み合わせた「ハイブリッド構成」によるクライアント仮想化ソリューションを採用しました。

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課題:オフショア開発業務環境の効率的な管理とコスト削減

大和総研では事業の1つとして、システムインテグレーションを展開していますが、オフショア開発を、北京、済南、大連、杭州の4拠点で行っていま す。そこで、オフショア開発業務のためのITインフラを、いかに効率的に維持・管理しながらコスト削減を実現するかが大きな目標となっていました。たとえ ば日本国内で開発する場合には、東京のデータセンターに、開発環境、テスト環境、本番環境と3つのシステムを構築し、システム開発を行います。中国でオフ ショア開発を行う場合には、さらに現地に、開発用とテスト用の2つの環境を立ち上げなければなりませんでした。大和総研 システム統括本部 グループシステム企画部長の日向康一氏は、次のように語ります。「中国でオフショア開発を行う場合には、合計5つの環境が必要です。大規模開発であれば対 応もできますが、1週間程度で終わる小規模な開発にも5 つの環境を準備し、維持することは、時間的にもコスト的にも困難でした」。日向氏は、「この課題を解決するためには、東京の開発環境を中国から直接利用す ることが有効だと考えました。そこでクラウド環境を活用して、オフショア開発環境を刷新することを決定しました」と話しています。

ソリューション:ICAによる高いパフォーマンスを評価してXenDesktop、XenAppを採用

大和総研では、2010年5月よりオフショア開発における課題の洗い出しとITインフラがいかにあるべきかの検討を開始。7月にプロジェクト推進体 制を確立させ、フェーズ1がスタートしました。大和総研 システム統括本部 グループシステム企画部 次長の小出 庸士臣 氏は、「プロジェクト開始時点で課題は見えていたので、それをいかに解決するかを検討しました」と話します。検討の結果、2010年9月に XenDesktop、XenAppを採用することを決定し、システムの構築をスタート。12月より、北京、済南、大連、杭州の4拠点に設置されている開 発用PC にCitrix Receiver™を導入して、クライアント仮想化環境のパイロット運用を開始し、デスクトップとアプリケーション仮想化の本格的な検証を開始しました。 最終的に、シトリックスのクライアント仮想化ソリューションを採用したのは、Citrix ICA®プロトコルを中核とするCitrixHDX™(High Definition eXperience)テクノロジにより、広帯域幅のネットワーク環境が十分に普及していない中国のオフショア開発環境下においても、高いパフォーマンス を発揮できることを評価したためです。小出氏は、「描画の速度など、想定される操作をチェックし、ストレスなく使えることを確認しました。当時のネット ワーク環境は北京が10Mbps程度と最も速く、ほかの拠点はそれ以下だったのですが、端末操作のレスポンスといった体感にほとんど差がなかったことには 驚きました」と話しています。2010年3月末より本格的な稼働が始まったクライアント仮想化環境は、「THiNC」と呼ばれています。THiNCでは、 東京のデータセンターで運営されているインターナルクラウド上のXenAppで稼働しているアプリケーションを、同じクラウド上にある XenDesktopによる仮想デスクトップ環境から利用できる仕組みになっています。現在、統合開発環境や各種開発ツール、コンパイラなど、約110種 類を超えるアプリケーションがXenApp上で稼働しています。また、さまざまなバージョンのWebブラウザやオフィススイート環境なども、1台のPCで 使用することができます。

導入効果:アプリケーション利用環境の「見える化」を含めた、クライアント環境の統合・一元管理によるITガバナンスの実現

THiNCにXenDesktop、XenAppを導入したことで、低帯域幅のネットワーク環境において高速なパフォーマンスを実現したほか、デー タをサーバー側で一元管理できることから、高いセキュリティを確保しながらオフショア開発が可能なIT環境を実現できました。パフォーマンスに関して、大 和総研ビジネス・イノベーション システムサービス統括本部 システムインテグレーション本部 ビジネスプロセス・インテグレーション部次長の芳原 剛氏は、次のように語ります。「たとえばメールを受信する場合、これまではPC側で受け取っていたので時間がかかっていましたが、クライアント仮想化環境 にしたことで、サーバー側で処理が行われるため、大量のメールであっても従来より高速にメールを受信できます」。また、XenDesktop、 XenAppを導入した効果を芳原氏は、「各オフショア拠点のPCに導入されているアプリケーションを調査しました。これにより、アプリケーションの利用 状況を見える化することができるため、必要なアプリケーションと不要なアプリケーションが明確になり、ライセンス料の削減なども期待できます」と話しま す。さらに従来、オフショア拠点とのメールのやりとりは、外部のメールサーバーを経由するために上長の承認が必要でした。しかしクライアント仮想化環境の 導入により、外部のサーバーを使うことなく社内のサーバーだけでメールがやり取りできるので、承認作業が不要になり、作業効率が大幅に向上しています。日 向氏は、「オフショア拠点との間でメールのスムーズなやり取りやファイルサーバーを共有できるようになっただけでも、インターナルクラウド上でクライアン ト仮想化を実現した価値はあったと思っています。一方で、中国の各拠点から東京のデータセンターを経由したインターネット環境を原則利用させないなど、中 国の文化や法規制に基づいたアクセス環境を提供する配慮も必要です」と話しています。

今後のプラン:フェーズ2で約1,600台のクライアント仮想化環境を追加

大和総研では、2011年5月よりフェーズ2として、オフショア開発だけでなく、国内の協力会社や社内からも利用できるクライアント仮想化環境を実 現する計画を推進中です。フェーズ2では、約1,600台のクライアント仮想化環境が追加導入され、フェーズ1と合計で約2,400台の仮想デスクトップ 環境が稼働することになります。このとき東京のデータセンターで運営しているインターナルクラウドを使用するのではなく、外部のパートナー企業が運営して いるIaaS環境を組み合わせて利用することも特長の1つです。パートナー企業が運営するIaaS環境をフレキシブルに利用可能とすることで、時期により 増減する開発プロジェクトに必要なだけのリソースを、伸縮自在に利用することが可能になります。日向氏は、「THiNC は、クライアント仮想化環境の社内における呼称です。システム開発だけでなく、管理部門はもちろん、アナリストやエコノミスト、コンサルタントなどにも利 用範囲を拡大していくことを検討しています。また、出張先などで使いたいという要望などにも対応していきたいと思っています」と話します。さらに日向氏 は、「XenDesktop、XenAppによるクライアント仮想化環境は、インターネット環境があれば、ノートPCやスマートデバイスなど、どのような デバイスからでも利用できるので、社外利用をはじめ、BCPや小規模拠点での利用、グループ企業への展開、さらにグループ企業ならびにパートナー企業を通 じたソリューション提供など、今後さまざまな展開を図ってまいります」と話しています。

XenDesktop、XenApp によるクライアント仮想化環境は、インターネット環境があれば、ノートPC やスマートデバイスなど、どのようなデバイスからでも利用できるので、社外利用をはじめ、BCP や小規模拠点での利用、グループ企業への展開、さらにグループ企業ならびにパートナー企業を通じたソリューション提供など、今後さまざまな展開を図ってまいります
- 日向 康一 氏

システム統括本部 グループシステム企画部長

株式会社大和総研

課題

  • オフショア開発環境の効率的管理とコスト削減

ソリューション

  • XenDesktop とXenApp のハイブリッド構成によるクライアント仮想化の実現

ベネフィット

  • 低帯域幅ネットワークでの高パフォーマンス
  • 高いセキュリティに基づいた端末利用環境
  • アプリケーションの可視化によるガバナンスの実現

導入アプリケーション

  • オフィススイート
  • 統合開発環境
  • コンパイラ

ネットワーク環境