IIoT(Industrial Internet of Things)とも呼ばれる生産プロセスのデジタル化は、企業ネットワークにまったく新しい課題をもたらしています。デジタル化された生産ライン、機械、システムには、最適なデータ転送パフォーマンスを保証し、新たな要件に柔軟に対応するネットワーク、SD-WAN(ソフトウェア・デファインドWAN)が必要です。

デジタル化は、スピードアップと柔軟性向上という2つの効果をもたらします。たとえば、メーカーはデジタル化によってメンテナンスの手間が最小化されることを期待します。機械のセンサーデータの評価にビッグデータ分析や人工知能を用いれば、故障リスクが統計的に高くなる前に摩耗部品をジャストインタイムで交換するなど、予測的なメンテナンスが可能になります。同時に、メーカーは柔軟性の向上と、ソフトウェアを利用した機械の迅速化(バッチサイズ1製品まで)も求めます。

どちらの面でも、ネットワークに求められることは大幅に増加します。膨大な量のセンサーデータをできるだけ迅速に転送し、多くの場合はネットワークのエッジにあるサイトでリアルタイムに分析する必要があります(「エッジコンピューティング」と呼ばれます)。同時に、企業データセンター内の分析およびトレンディング用データを収集する一方で、別のデータプールをパブリッククラウドサービスと共有させることが重要になります。より柔軟な生産とは、ネットワークコンポーネントポリシーのはるかに頻繁かつ迅速な変更を意味します。

このように多くの課題を抱えるネットワーク要件に従来のネットワーク機器で対応するには、多大な労力が必要です。そのために、WANは先見の明のある企業がすでにデータセンターで採用している方法で進化しようとしています。現在、データセンターではソフトウェア・デファインド・ネットワーク(SDN)が利用されています。IIoT時代には、柔軟でシンプルなソフトウェア・デファインド管理が、データセンター内に限らず、生産ライン、小売店舗、病院で使用される映像装置など、クラウドからデータセンター、エッジにいたるあらゆる場所で必要になります。

SD-WANでは、ネットワークトラフィックの処理方法をポリシーによってアプリケーション別に定義できます。インシデント(帯域幅ボトルネックやケーブル障害など)の発生時は、ネットワークチームは別のルートを指定できます。SD-WANソリューションは、中断のないフェイルオーバーだけでなく、転送経路間でのアプリケーション要件に応じた継続的かつインテリジェントな負荷分散も提供します。重要なデータトラフィックは、サービス品質メカニズムを使って優先させることができます。同時に、SD-WANアプライアンスは、データ圧縮、重複排除、ネットワークプロトコルレベルでの最適化によってデータトラフィックを迅速化します。これは、既存のルーティングトポロジとシームレスに統合され、クラウド経由でどこからでも管理できます。

SD-WANテクノロジーでもう1つ重要なことは、ネットワークチームが必要に応じてセキュアな仮想サブネットを作成し、データトラフィックをセグメント化できることです。たとえば、小売チェーンのIT部門は、ブランチオフィスのゲスト用VLANを仮想ルーティング/フォワーディング(VRF)によって一元的な場所からセットアップできます。ネットワークのセグメント化は、製造施設や病院でも同様に有用であり重要です。この場合も、ネットワーク変更の実装に必要な柔軟性がVRFによって提供され、ネットワーク管理者やセキュリティチームが必要とするリアルタイムの概要がアナリティクス機能によって提供されます。

デジタル化時代には、ソフトウェア・デファインド・ネットワークはデータセンター内にとどまらず、エッジにまで拡張されなければなりません。スマートなIIoT機器にはスマートなネットワークが必要です。シトリックスがCitrix SD-WANによって提供するSD-WANは、今求められている制御、スピード、柔軟性を企業ネットワーク全体に確実に提供することができます。