-->Synergy 2010のお土産 -XenClientの真価

Citrix Synergy 2010を振り返り、いくつかの興味深い製品、テクノロジについてポイント解説してみましょう。まずはXenClient。

会場は大きな興奮に包まれ、IntelDellHPMicrosoftMcAfeeなどのパートナーもこぞってエンドース、その意義を熱く語りました。XenClient Expressテストキットのダウンロード数もすぐに4桁に。間違いなく、今年のSynergyカンファレンスの目玉と言っていいでしょう。

XenClientとは、クライアントデバイスで実行するベアメタルハイパーバイザーです。この革新的なテクノロジは、デスクトップ仮想化にまったく新しいレベルのセキュリティ、管理性、柔軟性をもたらします。企業が所有する1つのデバイスで、複数のデスクトップを走らせることができたら?ユーザーが仮想デスクトップを「持ち歩き」、ネットワークに接続したときにデータを自動的に同期させることができたら?シンクライアント的な世界では手つかずだった、モバイル・オフライン状態での作業環境を提供できる?XenClientは、そんな夢のようなことを実現します。会場にいたすべての人々、ITに関わる多数の人々はその可能性を理解し、期待を膨らませているのです。

クライアントハイパーバイザーのキーポイント:

1)    ベアメタルハイパーバイザーは、企業所有のノートPCにかつてないセキュリティ、パフォーマンス、管理性、柔軟性をもたらす  ベアメタルクライアントハイパーバイザー(「タイプ1」ハイパーバイザー)であれば、1台の企業所有ノートPC上で、完全に分離された複数の仮想デスクトップを実行できます。仮想デスクトップとハードウェアの間に1つのソフトウェアシンレイヤを挟むだけで、他のタイプのクライアントハイパーバイザーでは不可能な、新しいレベルのパフォーマンスとセキュリティを実現できます。これは、マイクロプロセッサレベルでハードウェアサブシステムに直接アクセスできるからです。また、このアーキテクチャでは、仮想デスクトップ間に強固な壁が築かれるため、仮想マシン同士を固く分離できます。そのため、特定の仮想デスクトップでセキュリティやリソースの問題が発生したとしても、その影響は他の仮想デスクトップには及びません。

2)   タイプ2ハイパーバイザーの役割 ―企業ITにおいては、インストールされたローカルデスクトップOS上でゲストとして動作する、「タイプ2」ハイパーバイザーにも別の意味があります。たとえば、ParallelsVMware Fusionのようなソリューションは、IT部門がなくても、Mac上でWindowsを簡単に実行できます。また、MicrosoftVirtual PCのようなタイプ2ハイパーバイザーをMicrosoft MED-Vの管理機能と組み合わせると、Windows 7に移行する場合のアプリケーション互換性の問題を解決できます。

3)    VDIデスクトップの「チェックアウト」とは ―今後リリース予定の VMware View 4.5XenClientに相当するものとして、VDIデスクトップを「チェックアウト・チェックイン」してオフラインでも利用する機能があるようです。利用シナリオは、サーバ上で実行される従来のVDIデスクトップを全員に配備。ユーザーは外出、出張するときに、自分のデスクトップをチェックアウト(借り出し)する。つまりサーバーからデスクトップをダウンロードし、自分のノートPCのタイプ2ハイパーバイザー上にインストールする。いいアイデアに聞こえますが、VDIデスクトップ全体をダウンロードするのに、軽く1時間はかかるのは懸念のポイントです。1回くらいはやってみようと思うかもしれませんが、出張から戻ったときには、デスクトップをサーバに返されなければなりません(チェックイン)。また同じ手間をかけて、わざわざサーバにデスクトップをチェックイン(返却)するでしょうか。セキュリティ、パフォーマンス、管理性の点で、タイプ2ハイパーバイザ上でデスクトップを「チェックアウト・チェックイン」するアプローチは、大規模なエンタープライズ環境での現実的な解決とは思えません。

4)   強力なデータ暗号化ソリューションを併用、アプリケーションをオンデマンドサービスとしてデリバリすることを推奨 ユーザーが私物PCをビジネスで使う(Bring Your Own PC: BYOC)ケースが今後増えると考えます(私自身、実践しているBYOCユーザーです)。この場合、ユーザーがIT部門にして欲しいことは、業務の遂行に必要な業務アプリケーションの提供です。一方、IT部門が心配するのは、従業員が作成した企業データのセキュリティ保護です。ここに、新しくMicrosoft App-Vとの完全統合を実現したCitrix XenAppの存在意義があります。PCMac、ノートPC、タブレット、スマートフォン等のあらゆるデバイスを使って、日夜数百万人のユーザーに、オンデマンドサービスとして業務アプリケーションを配信しています。これを同じくSynergyで発表したSafe Zoneテクノロジと組み合わせると、業務アプリケーションで作成された全データを、自動的かつ透過的に暗号化してデバイスに保存することができるので、利便性とセキュリティを両立可能です。ノートPCの紛失や盗難などがあったときに、データを遠隔的に消去することも可能です。

5)    複数の仮想デスクトップを併用する場合、それらを自由に組み合わせて利用する柔軟性が必要  Citrix XenDesktopと、そのユニークなFlexCast™デリバリテクノロジを使用すると、企業内ユーザーに適した仮想デスクトップをユーザーごとに選択できるようになります。XenClientがすべてのノートPCユーザーに適しているとは思いませんし、VDIがあらゆるオフィスワーカーに適したモデルとも思いません。会社には、それぞれ違う業務を担う人がいて、仕事をする環境も同一ではなく、デスクトップ環境への要求もさまざまです。重要なのはそれぞれに適したデスクトップ環境を選択できることです。ソリューション選定の際は、仮想デスクトップのタイプ、ユーザー、デバイスが限定されない、選択の柔軟性があるものを選択してください。この柔軟性が、最終的には大きな違いになり、ユーザー企業へ大きく貢献します。

XenClientをどのように使うか、多くの議論があり検証も必要と思います。Synergyの発表とセッション、その後数日間のダウンロード実績からすると、XenClientの反響は予想を超えるもので、これからの大きな成長を予感させます。皆さんも是非、XenClient Expressを試してみてください。